事例Ⅲの論点は1次のどこが土台か|19年80問の対応表
この記事の結論
- 事例Ⅲの19年80問は、8種類の論点に分かれます。
- 最多の「新事業・受注拡大」には、対応する1次の分野がありません。
- 1次の分野に対応づくのは80問中52問(65%)です。
2次の勉強をしていると、「この論点、1次のどこをやり直せばいいのか」で手が止まります。事例Ⅲで19年間に問われた80問を論点ごとに数え、それぞれの土台になる1次の分野を対応づけました。対応づけは人手で、答案を書くときに定義があいまいだと詰まる分野だけを選んでいます。素直な対応先が無い論点は、無理に当てずに空のままにしました。数値は試験実施機関が公表している問題PDFを解析した、当サイトの独自集計です。
事例Ⅲで問われてきた論点
事例Ⅲで最も多い論点は「新事業・受注拡大」の28問。上位3論点で80問中60問(75%)を占めます。
事例Ⅲは上位3つを外すと、答案に書く材料そのものが手元に残りません。残る5種類は合わせて20問しかないので、まず上の3つを1次の知識で固めてください。ただし「新事業・受注拡大」に対応する1次の分野はなく、1次で固められるのは上位3つのうち2つです。
この位置では、過去に何が問われてきたか
事例Ⅲは第1問=強み・弱みの分析(19年中17年)、第4問=新事業・受注拡大(18年中12年)。ここは決め打ちで練習できます。
| 設問の位置 | 最も多い論点 | その割合 | 次に多い論点 |
|---|---|---|---|
| 第1問(19年分) | ◎ 強み・弱みの分析 | 17/19(90%・信頼区間69〜97%) | 新事業・受注拡大 1問/生産計画・工程管理 1問 |
| 第2問(19年分) | 生産計画・工程管理 | 8/19(42%・信頼区間23〜64%) | 新事業・受注拡大 4問/標準化・技能育成 2問/納期・リードタイム 2問 |
| 第3問(19年分) | 新事業・受注拡大 | 6/19(32%・信頼区間15〜54%) | 生産計画・工程管理 4問/IT・情報共有 3問/納期・リードタイム 3問 |
| 第4問(18年分) | ◎ 新事業・受注拡大 | 12/18(67%・信頼区間44〜84%) | IT・情報共有 3問/生産計画・工程管理 2問/標準化・技能育成 1問 |
| 第5問(5年分) | 新事業・受注拡大 | 5/5(100%・信頼区間57〜100%) | — |
過去問を解くときは、定番の位置を先に固めるのが効率的です。第1問は強み・弱みの分析、第4問は新事業・受注拡大が来る前提で答案の型を用意しておけます。残りの位置は年度で動くので、設問文を読んでから決めてください。
論点ごとに、1次のどこが土台になるか
80問中52問は1次の分野に対応づきます。残る28問は、1次の知識では埋まりません。
| 2次の論点 | 2次の出題数(19年) | 土台になる1次の分野(かっこ内は1次の出題数・20年) |
|---|---|---|
| 新事業・受注拡大 | 28問 | 対応する分野なし |
| 強み・弱みの分析 | 17問 | 経営資源・競争優位(VRIO・ケイパビリティ)(20問)/経営戦略・環境分析(26問) |
| 生産計画・工程管理 | 15問 | 生産計画・在庫管理(42問)/日程計画・ラインバランシング(15問) |
| IT・情報共有 | 7問 | 経営情報管理・業務システム(19問)/DB設計・正規化(12問) |
| 納期・リードタイム | 5問 | 生産計画・在庫管理(42問)/日程計画・ラインバランシング(15問) |
| 標準化・技能育成 | 3問 | 生産性改善・工程管理・現場手法(28問)/作業測定・標準時間(31問) |
| 在庫・調達 | 3問 | 生産計画・在庫管理(42問)/VE・外注管理・環境法規(24問) |
| 品質 | 2問 | TQM・品質保証・品質設計(16問)/QC手法・統計的品質管理(13問) |
事例Ⅲで最も多い「新事業・受注拡大」には、対応する1次の分野を置いていません。1次のどの分野にも素直に収まらず、無理に当てると的外れな演習へ送ることになるためです。
80問中28問がこの状態です。ここは1次の演習では埋まらないと割り切って、事例そのものを解く時間にあててください。
送り先の分野は企業経営理論・運営管理・経営情報システムにまたがります。1次の科目を1つ通しで解くより、下の分野を指定して解くほうが早く戻れます。
2次でも1次でもよく出る分野から手をつける
1次に戻るなら「経営戦略・環境分析」からです。2次の「強み・弱みの分析」17問の土台で、1次でも20年で26問ある分野です。
- 11次の演習で「経営戦略・環境分析」を分野指定でまとめて解く。「強み・弱みの分析」の答案で使う言葉は、この分野に入っている。
- 2「標準化・技能育成」は2次では19年で3問と多くない。ただし土台の「作業測定・標準時間」は1次で20年に31問あり、1次側では手を抜けない。2次の対策のついでに片づけておく。
- 3「新事業・受注拡大」は1次の演習では埋まらない。この論点にあてる時間は、事例を1本通して解くほうに回す。
この記事で言えないこと
- 論点のラベルは、当サイトが2次の設問文を1件ずつ読んで付けた分類です。公式の分類ではないので、分け方を変えれば事例Ⅲの8種類という数も変わります。
- 1次の分野の割り当ては人手です。答案を書くときに定義があいまいだと詰まる分野だけを土台にしており、関連はあっても答案を止めない分野は外しています。
- 2次試験は正解が公表されません。1次の分野を固めるのは答案の材料をそろえる作業で、点が入る書き方まで示すものではありません。
本記事の2次の数値は、試験実施機関が公表している問題PDFを解析した当サイトの独自集計です。1次の出題数は、当サイトが収録している2007〜2026年度の過去問の集計です。問題そのもの(与件文・設問文)の著作権は一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会に帰属します。全文は試験実施機関の公表資料でご確認ください。
この記事のまとめ
- 事例Ⅲの19年80問は、8種類の論点に分かれます。
- 最多の「新事業・受注拡大」には、対応する1次の分野がありません。
- 1次の分野に対応づくのは80問中52問(65%)です。
よくある質問
- 事例Ⅲでは、どの論点がいちばん多く問われていますか?
- 19年80問のうち「新事業・受注拡大」が28問で最多です。ただし、この論点に素直に対応する1次の分野はありません。1次の演習では埋まらない部分として扱ってください。
- 事例Ⅲのために1次へ戻るなら、どの分野からですか?
- 土台になる分野は企業経営理論・運営管理・経営情報システムにまたがります。最初に解くなら「経営戦略・環境分析」です。2次で17問ある「強み・弱みの分析」の土台であり、1次でも20年で26問と数が多いためです。
- この対応表は、2次試験の採点基準ですか?
- いいえ。答案の良し悪しを決めるものではなく、1次の演習へ戻るための道しるべです。問題そのもの(与件文・設問文)の著作権は一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会に帰属します。全文は試験実施機関の公表資料でご確認ください。

