令和9年度に向けた設計図:改正フィルタ・科目別の筋トレ・時間配分・足切り回避
この記事の結論
- 来年の設計は、改正フィルタ・科目別の筋トレ・時間配分・足切り回避の4本柱で組みます。
- 科目合格率は1年で20ポイント以上動きます。得意科目を当て込む設計は危険です。
- 過去問には法改正で前提が変わった問題が混ざります。仕組みで外すのが確実です。
- 残り約11か月。いま決めるべきは量ではなく、何を回さないかの線引きです。
令和8年度1次試験は、7科目とも没問・正解訂正なしで終わりました。実力がそのまま出た以上、来年に向けてやることは「運を待つ」ではなく「設計する」ことです。この記事では、今年の出題と19年分(2007〜2025年度)の実測データを踏まえて、令和9年度に向けた学習を4本の柱に整理します。シリーズの最終回です。
来年の設計を4本の柱で組む
改正フィルタ・科目別の筋トレ・時間配分・足切り回避。優先順位はこの並びのとおりです。
今年の出題を貫いていたのは「改正・新法・時事のアップデート」でした。運営管理では施行7か月の新制度(特定運送委託)が、中小企業政策では2026年に改編・新設された補助金が、経営情報システムではAI関連ガイドラインが問われています。この比重は来年も高いと見るのが自然です。そのうえで、科目ごとに効く練習・当日の時間配分・足切りの守りを重ねます。
- 1柱1:古い前提のまま解かない。法改正で前提が変わった過去問を、演習の仕組みで外す。
- 2柱2:科目ごとに効く筋トレは違う。7科目に同じ練習を配らない。
- 3柱3:時間配分は難易度と無関係に効く。素直な年ほど時間で差が開く。
- 4柱4:足切りを作らない。得意科目は来年も得意とは限らないという前提で守る。
柱1:古い前提のまま解かない(改正フィルタ)
経営法務だけで37問が改正で前提ごと変わっています。記憶ではなく仕組みで外します。
過去問学習の落とし穴は、当時は正解だったが今は誤りになった選択肢を、そのまま覚えてしまうことです。経営法務では全463問のうち37問(8.0%)がこれに該当します。どの改正が効いているかを数えると、上位はこうなります。
注目したいのは最下段の「下請法から中小受託取引適正化法へ」(2026年1月施行)です。今年は運営管理でも法務でも下請法まわりが問われました。施行直後の制度は、市販テキストの改訂が追いつかない一方で出題されうる、という今年の教訓がそのまま残っています。
対処は単純で、演習の側で外すことです。当サイトには「法改正で前提が変わった問題を除外」するフィルタがあり、注記の付いた問題を演習から除けます。除外せずに解いた場合も、解説の前に注記のバナーが出ます。なお2016年度以降の問題では該当が4.5%まで下がるので、直近年度中心に回している人ほど影響は小さくなります。
柱2:7科目に同じ練習を配らない
図表6割の科目と計算3割の科目に、同じ練習を配っても伸びません。科目ごとに型を変えます。
処理速度で差がつく科目:経済学・経済政策/財務・会計
経済は19年で60.8%が図表つき、財務は32.5%が計算問題と、いずれも7科目で突出しています。ただし経済の実測では、図表つき(53.5%)と図表なし(54.4%)で有意な差は確認できていません。恐れるべきは図表そのものではなく処理時間です。よく出る図の型を先に覚え、計算だけを絞り込んで反復するのが最短経路になります。
穴を作れない科目:企業経営理論
19年・788問が戦略265問・マーケティング264問・組織259問とほぼ三等分で、実測正答率も61.4〜64.0%で群間の差は確認できません。どの群を捨てても失う期待点はほぼ同じだけ大きい、という構造です。分野単位で穴を潰す以外の戦略が成立しません。
情報の鮮度で差がつく科目:運営管理/経営法務/経営情報システム/中小
運営管理は新制度、法務は改正の細目、情報は新用語(2025年度は問題の40.0%が該当)、中小は改編・新設された補助金。この4科目は、覚える量より覚えている情報の新しさが効きます。過去問の反復に加えて、直前期に最新論点を上書きする時間を最初から確保しておくべきです。
柱3:時間配分は難易度と無関係に効く
今年の財務は素直でした。素直な年ほど、差は知識ではなく処理の速さと正確さで開きます。
難しい年は誰にとっても難しく、素直な年は誰にとっても素直です。だからこそ、素直な年の得点差は「解ける・解けない」ではなく「時間内に正確に解き切れたか」で決まります。今年の財務・会計はまさにそのパターンでした。端数処理を丁寧にやりつつ時間内に収める、という当日の運用そのものが得点力です。
ここで「長く解くと集中が切れて正答率が落ちるのでは」という疑問が出ます。当サイトの解答ログ30,794件を、30分以上あいたところで区切って1,914セッションに分け、セッション内で何問目かと正答率の関係を見ました。結果は下のとおりで、ほぼ平坦です。
長く続けられる人ほど成績が良い、という偏りを除くため、31問以上続いたセッション(191本)だけに絞った統制版も見ました。序盤(1〜10問目)67.2%に対して終盤(31問目以降)66.8%、2標本比率検定でz=0.37と、やはり差は確認できません。つまり「疲れるから小分けに」を裏づけるものは、少なくとも正答率の面では出てきませんでした。本番と同じ問数・同じ制限時間で通す練習を、途中で切らずにやってよいということです。
ただしこれはWeb演習での観察データです。本番の緊張下や、90分×複数科目を1日通す疲労とは別物で、そこは測れていません。また、疲れたら自発的に休憩する人の行動が既に織り込まれているため、「休憩を取らなくても大丈夫」とまでは言えません。
当サイトの本番模試は、年度単位の通し演習を本番と同じ問数・制限時間で行えます。演習画面には電卓と手書きメモもあります。
柱4:得意科目は来年も得意とは限らない
企業経営理論は1年で39.9%から17.3%へ、中小は5.6%から30.7%へ動きました。読めません。
たった1年で、企業経営理論は39.9%から17.3%へ22.6ポイント下がり、中小企業経営・政策は5.6%から30.7%へ25.1ポイント上がりました。19年で見ても、振れ幅は最大の経営情報システムで48.0ポイント、最小の経営法務でも21.7ポイントあります。特定の科目で稼ぐ前提の設計は、その科目が外れ年に当たった瞬間に崩れます。なお令和8年度(2026年度)の科目合格率はまだ公表されていません。今年度の体感が数字として確定するのは合格発表後で、それを待ってから来年の設計を始めるのでは遅い、というのが本記事の立場です。
したがって守りの基本は変わりません。総点60%を狙いつつ、1科目でも40点未満を作らないこと。弱点の把握は感覚ではなくデータで行うのが確実です。当サイトのマイページには実力スコア(レーダー)があり、科目ごとの現在地を予測点で表示します。予測点には誤差幅(±9点目安)も併記しており、足切りを予測から断定しない設計にしています。
穴の埋め方は、間違えた問題を忘れかけたタイミングで戻すのが効率的です。リベンジモード(忘却曲線ベースの自動復習)は、その間隔を自動で決めます。
残り約11か月をどう使うか
いま決めるべきは量ではなく、何を回さないかの線引きです。4つだけ先に決めておきます。
次の1次試験まではおよそ11か月あります。この時期に決めておくと後が楽になるのは、増やすことではなく減らすことです。直前期に迷わないために、この記事で見てきた数字から線引きできるものを4つ挙げます。
- 1何年分を回すか。法改正で前提が変わった問題は2016年度以降では4.5%まで下がります。古い年度を足すほど注記の確認コストが増えるので、「広げる」より先に「どこまでで足りるか」を決めます。
- 2改正で前提が変わった問題を、演習に入れるか外すか。入れるなら注記を読む時間を、外すなら最新論点を別途仕入れる時間を、どちらかに先に確保します。
- 3守りに回す科目を決める。中小企業経営・政策のように年ごとの振れが大きい科目は、得点計画の当てにしないと最初に決めておきます。
- 4捨てない科目を決める。企業経営理論は19年で三等分なので、群単位で捨てた時点で失う期待点が大きくなります。ここは分野単位で潰す前提にします。
本記事の方針はAIによる分析と当サイトの実測データに基づく参考情報です。試験制度・日程・配点は年度で変わりうるため、必ず試験実施機関の受験案内で確認してください。機能内容は2026年8月時点のものです。
この記事のまとめ
- 来年の設計は、改正フィルタ・科目別の筋トレ・時間配分・足切り回避の4本柱で組みます。
- 科目合格率は1年で20ポイント以上動きます。得意科目を当て込む設計は危険です。
- 過去問には法改正で前提が変わった問題が混ざります。仕組みで外すのが確実です。
- 残り約11か月。いま決めるべきは量ではなく、何を回さないかの線引きです。
よくある質問
- 令和9年度に向けて、まず何から始めるべきですか?
- まず、法改正で前提が変わった問題を除外して過去問を回し、最新の基準で解ける状態を作ります。次に科目ごとの練習を変えること(経済は図の型、財務は計算の正確さ、法務は債権系の細目、情報は新用語の上乗せ、中小は白書の数字)。最後に、40点未満の足切り科目を作らない守りを、実力スコアとリベンジモードで固めるのが効率的です。
- 今年得意だった科目は、来年も得点源にできますか?
- 当て込まないほうが安全です。公式の科目合格率は1年で大きく動きます。2024年度から2025年度にかけて、企業経営理論は39.9%から17.3%へ22.6ポイント下がり、中小企業経営・政策は5.6%から30.7%へ25.1ポイント上がりました。19年で見た振れ幅も、最大の経営情報システムで48.0ポイントあります。
- 法改正で前提が変わった過去問は、解かないほうがよいですか?
- 無理に避ける必要はありませんが、古い正解をそのまま覚えるのは危険です。経営法務では463問中37問(8.0%)が該当し、2007〜2015年の問題では11.9%、2016年度以降は4.5%です。当サイトでは該当問題に注記が付き、演習から除外するフィルタも用意しています。直近年度中心に回す場合は影響が小さくなります。
