令和8年度(2026年度)1次試験 総括:没問ゼロの一年と、割れた2問の顛末
この記事の結論
- 令和8年度は7科目とも没問・正解訂正なし。実力がそのまま出た一年でした。
- 当日に解釈が割れた運営管理の2問は、公式でオ・エに確定しています。
- 自己採点n=75で420点以上は約45%。ただし95%信頼区間は34〜56%と広めです。
- 科目別の講評と来年の設計図は、この総括に続く3本にまとめました。
令和8年度の1次試験は、7科目とも没問(全員正解)も正解訂正もありませんでした。採点の外側で拾われる点は1問もなく、当日に塗ったマークがそのまま結果になります。この記事は、公式正解・配点の発表を受けた「総論」です。今年の試験は何だったのか、当日に解釈が割れた問題はどう決着したのか、自己採点データをどこまで信じてよいのかを扱います。科目ごとの講評と令和9年度に向けた設計図は、この記事に続く3本に分けました。
没問ゼロ、正解訂正ゼロ。令和8年度の1次試験は何だったのか
7科目とも没問・正解訂正なし。全体を貫くキーワードは「改正・新法・時事のアップデート」でした。
体感の難易度は、中小企業経営・中小企業政策、経済学・経済政策、経営法務がやや重め、財務・会計は比較的素直でした。運営管理の新制度、経営情報システムのAI関連ガイドライン、中小企業政策の新設補助金など、直近の制度・動向を追えていたかで差がつきやすい出題が目立ちました。
過去には、選択肢に正解が無いなどの理由で全員正解の扱いになる問題が出た年もあります。今年はそれが1問もありませんでした。試験当日〜直後は、解答速報を科目終了後に順次公開しています。解答番号だけでなく、確度と根拠を添えました。
当日に解釈が割れた2問は、こう決着した
割れたのは運営管理の2問。片方は施行7か月の新制度、もう片方は没問候補と見ていた問題でした。
運営管理 第34問 ― 施行7か月の新制度がそのまま出た
2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(下請法の改正・改称)で、新たに規制の対象となった委託類型「特定運送委託」に関する出題です。試験日の約7か月前にできたばかりの制度で、当日は解釈が割れました。公式の正解はオで確定しています。市販テキストの改訂が追いつきにくい領域が、そのまま出題されたかたちです。
運営管理 第13問 ― 没問候補と見ていたが、協会は没問としなかった
設備管理の問題で、正しい組合せが選択肢に見当たらず、当サイトでは没問候補と見ていました。しかし協会は没問とせず、エで確定しています。「おかしいと思った問題が救済されるとは限らない」という、来年に持ち越すべき教訓です。
当サイトの速報は確度を添えて公開しており、公式発表と食い違った箇所は、この記事のように事後に明示します。
自己採点n=75が示す420点ラインとの距離。ただし幅は広い
420点以上は約45%。ただし95%信頼区間は34〜56%で、「半数近く」以上のことは言えません。
この数字を読むときの注意は2つあります。第一に、n=75は小さい標本です。420点以上の割合45%に95%信頼区間をつけると約34〜56%になり、「およそ半数」という以上の解像度はありません。第二に、そもそも自己採点を最後まで入力する人は、手応えがある層に偏ります(自己選択バイアス)。したがってこの45%を合格率の推定値として使うことはできません。
使い方としては、合格率の予想ではなく「同じように自己採点した人のなかで自分がどのあたりか」を見る目安として扱うのが妥当です。合計と合格ラインとの差、足切りの有無は、自己採点ページが公式配点をもとに自動で判定します。
7科目の体感を1行ずつ。重かったのは中小・経済・法務
以下は体感の要約です。19年分の実測データで裏を取った詳しい講評は、続く2本にあります。
- 経済学・経済政策:ミクロ・マクロに統計の読み取りが乗り、図の処理速度で差がつきました。
- 財務・会計:会計と財務がバランスよく並び、計算も選択肢とぴったり合う素直な設計でした。
- 企業経営理論:長文と正誤組合せが中心。人権デューデリジェンスなど新しい論点も出ました。
- 運営管理:生産と店舗・物流が軸。第34問の新制度、第13問の解釈で当日は割れました。
- 経営法務:会社法・知的財産・民法と広く、改正論点の細目で差がつく重めの出題でした。
- 経営情報システム:基礎の上に、AI事業者ガイドラインなど最新動向が前面に出ました。
- 中小企業経営・中小企業政策:白書統計の細部と新設補助金が大量に出た、今年の最難関枠です。
今年の体感を来年に持ち越してはいけない理由
科目合格率は19年で最大48ポイントも振れます。「今年は簡単だった科目」は来年の保証になりません。
経営情報システムは最低3.8%・最高51.8%で、振れ幅は48.0ポイント。標準偏差も11.8ポイントと7科目で最大です。逆に最も安定しているのは経営法務で、振れ幅21.7ポイント・標準偏差6.4ポイント。「情報は当たれば楽、外すと沼」「法務は毎年それなりに重い」という受験生の実感は、公式の数字とおおむね一致します。
ここから言えるのは、来年の戦略を「今年の体感」だけで組むのは危ういということです。得意科目が来年も得意である保証はなく、守るべきは各科目40点未満(足切り)を作らないこと。その具体的な組み立ては、シリーズ最終回にまとめました。
この集計は2007〜2025年度(19年分)の公表値です。令和8年度(2026年度)の科目合格率は合格発表後に公表されるため、まだこのグラフには入っていません。したがって本シリーズでは、今年度の難易度は「公式正解と当サイトの分析にもとづく所感」として扱い、19年分の実測データとは区別して書いています。今年度の数字が出た時点で、この記事に追記します。
この総括に続く3本(シリーズ構成)
総論はここまで。ここから先は、科目ごとの各論と、来年の設計図に分かれます。
- 11日目の4科目講評:経済・財務・企業経営理論・運営管理を、19年分の出題データと実測正答率で裏取りします。「図表が多いから経済は難しい」は本当かも検証しました。
- 22日目の3科目講評:経営法務・経営情報システム・中小企業経営/政策。19年で最も取れていない分野、新しい用語が増え続けている科目、合格率が乱高下する科目という順に見ていきます。
- 3令和9年度に向けた設計図:改正フィルタ・科目別の筋トレ・時間配分・足切り回避の4本柱で、明日からの学習に落とします。
まとめ:実力がそのまま出た一年だった
今年は没問・訂正のないクリーンな出題で、実力がそのまま反映される一年でした。当サイトでは令和8年度の問題も収録し、20年分+2023年の再試験の過去問を全問・解説つきで公開しており、日々の演習から当日の速報・自己採点、弱点の可視化までを一つにまとめています。
本記事の難易度所感はAIによる分析と当サイト利用者の自己採点データに基づく参考情報です。正式な合否・配点は試験実施機関の発表をご確認ください。機能内容は2026年8月時点のものです。
この記事のまとめ
- 令和8年度は7科目とも没問・正解訂正なし。実力がそのまま出た一年でした。
- 当日に解釈が割れた運営管理の2問は、公式でオ・エに確定しています。
- 自己採点n=75で420点以上は約45%。ただし95%信頼区間は34〜56%と広めです。
- 科目別の講評と来年の設計図は、この総括に続く3本にまとめました。
よくある質問
- 令和8年度の1次試験に没問(全員正解)はありましたか?
- ありません。協会公式の発表では、7科目とも没問・正解訂正はありませんでした。運営管理の第13問(設備管理)は正しい組合せが選択肢に見当たらず没問候補と見ていましたが、協会は没問とせずエで確定しています。第34問(特定運送委託)も当日は解釈が割れましたが、公式はオで確定しました。
- 令和8年度の1次試験は難しかったですか?
- 体感では中小企業経営・中小企業政策、経済学・経済政策、経営法務がやや重め、財務・会計は比較的素直でした。全体としては、改正・新法・時事のアップデートを追えていたかで差がつきやすい出題です。科目ごとの詳しい講評は、1日目編・2日目編に分けてまとめています。
- 自己採点の平均403点は、合格率の目安になりますか?
- なりません。7科目そろって入力された分(n=75)の平均が約403点、420点以上が約45%でしたが、95%信頼区間は約34〜56%と広く、また自己採点を最後まで入力する層は手応えのある人に偏ります(自己選択バイアス)。合格率の推定には使わず、「同じように自己採点した人のなかでの位置」の目安としてご覧ください。
