令和8年度の科目合格率が出た——経済8.5%・運営9.9%の同時割れと、企業経営理論32.9%
この記事の結論
- 令和8年度の試験合格率は23.0%(4,099人)。20年平均24.9%をわずかに下回りました。
- 経済学・経済政策8.5%と運営管理9.9%が同時に10%を割りました(20年で8回目)。
- 同じ年に企業経営理論は32.9%。1年の中で3.8倍の開きがあります。
- 前年の科目合格率から翌年は読めません(20年133組の対応で ρ=+0.03、p=0.73)。
令和8年度(2026年度)第1次試験の統計資料が公表されました。科目ごとに何人が受け、何人が科目合格したかが分かる公式の数字です。この記事では、その数字が20年(2007〜2026年度)のどこに位置するのかを確かめます。今年いちばん目を引くのは、経済学・経済政策が8.5%まで下がり、運営管理も9.9%と、10%を割った科目が同じ年に2つ出たことです。その一方で企業経営理論は32.9%でした。ただし、この数字を「来年はこの科目が易しい/難しい」の予想に使うことはできません。20年分で確かめた結果を最後に置きます。
令和8年度の数字(公式)
全体は23.0%。科目別は8.5%から32.9%まで、同じ年の中で3.8倍の開きがありました。
| 科目 | 科目受験者数 | 科目合格者数 | 科目合格率 | 前年からの差 |
|---|---|---|---|---|
| 企業経営理論 | 15,750 | 5,179 | 32.9% | +15.6pt |
| 経営情報システム | 15,929 | 3,540 | 22.2% | +8.0pt |
| 財務・会計 | 17,474 | 3,378 | 19.3% | +11.0pt |
| 中小企業経営・政策 | 14,940 | 1,737 | 11.6% | −19.1pt |
| 経営法務 | 16,313 | 1,796 | 11.0% | −7.3pt |
| 運営管理 | 15,838 | 1,566 | 9.9% | −4.5pt |
| 経済学・経済政策 | 16,777 | 1,433 | 8.5% | −5.9pt |
公式の「科目合格者数」には、その年の試験全体に合格した人は含まれません(統計資料の注記のとおり)。つまりこの率は「全体には届かなかったが、その科目では60点以上だった人」の割合です。全体に合格した4,099人はこの分子に入っていません。
全体で見ると、試験合格率23.0%は20年平均の24.9%をわずかに下回る水準です。低いほうから数えて20年中7番目で、突出して厳しい年ではありません。合格者数は4,099人で、2020年度の5,005人・2023年度の5,521人といった多かった年からは下がってきています。
10%を割った科目が2つ。これは珍しいことなのか
2科目以上が10%を割った年は、20年のうち8年ありました。今年だけの異常事態ではありません。
経済学・経済政策の8.5%は、20年のうち低いほうから3番目です(下には2013年度の2.1%と2010年度の6.1%があります)。運営管理の9.9%は低いほうから4番目でした。同じ年に2科目が10%を割ったこと自体は、20年で8回起きています。
| 年度 | 10%を割った科目 |
|---|---|
| 2007年度 | 財務・会計/中小企業経営・政策 |
| 2009年度 | 経営情報システム/中小企業経営・政策 |
| 2011年度 | 経済学・経済政策/中小企業経営・政策 |
| 2013年度 | 経済学・経済政策/企業経営理論 |
| 2016年度 | 経営法務/経営情報システム |
| 2017年度 | 企業経営理論/運営管理/経営法務(3科目) |
| 2018年度 | 財務・会計/企業経営理論/経営法務(3科目) |
| 2026年度 | 経済学・経済政策/運営管理 |
20年を通してみると、どこか1科目が10%を割る年のほうが普通です。20年のうち19年で、少なくとも1科目が10%を割っています。「今年は荒れた」と感じたときは、それが例年どおりなのかを確かめる価値があります。
同じ年に32.9%。科目間の開きは毎年ある
企業経営理論32.9%は20年で3番目に高い水準。年内の開き3.8倍は、20年の中ではむしろ小さいほうです。
企業経営理論は前年の17.3%から32.9%へ、15.6ポイント上がりました。企業経営理論の20年の中では高いほうから3番目です(上は2024年度の39.9%と2021年度の34.7%)。逆に中小企業経営・政策は30.7%から11.6%へ、19.1ポイント下がりました。
その年のいちばん高い科目といちばん低い科目の比は、令和8年度で3.8倍でした。20年の中では2013年度の24.3倍(経営情報システム51.8% と 経済学・経済政策2.1%)が最大で、いちばん小さかったのは2022年度の2.5倍です。今年の3.8倍は、20年の中では開きが小さいほうに入ります。
前年の科目合格率から、翌年は読めない
同じ科目の「前年 → 翌年」を20年ぶん133組並べても、順位相関は ρ=+0.03(p=0.73)。関係がありません。
「今年これだけ低かったのだから、来年は易しくなるだろう」——この読みが成り立つなら、前年の科目合格率と翌年の科目合格率のあいだに何らかの関係(正でも負でも)が見えるはずです。2007〜2026年度で、同じ科目の連続する2年をすべて組にすると133組できます。この133組で順位相関を取ったところ、ρ=+0.03(p=0.73)でした。ピアソンの相関でも r=+0.05(p=0.60)です。どちらも「関係が見当たらない」水準です。
「関係が見当たらない」は「難易度が毎年ランダムに決まっている」という意味ではありません。ここで測っているのは前年の数字から翌年の数字を当てられるかどうかだけです。出題範囲の改正や制度変更といった、前もって分かる材料は別に存在します。
では、この数字は何に使えるのか
使えるのは「来年の予想」ではなく、今年の自分の結果を正しく受け止めることです。
- 科目合格率は、その年の受験者集団の出来ばえで決まる数字です。自分が60点に届いたかどうかとは別の話なので、「率が低かったから自分の点が低いのは仕方ない」という慰めにも、「率が高かったのに取れなかった」という自責にも使わないほうが健全です。
- 翌年の科目選択(どれを免除するか)の判断材料として、前年の合格率は使えません。上のとおり前年と翌年に対応がないためです。
- 使えるのは、免除の是非を「自分の得点源かどうか」で決めることです。免除すると、その科目で稼いでいた点も一緒に手放します。残りの科目だけで平均60点が必要になる点は必ず確認してください。
- 科目合格の有効期間は3年です。今年の科目合格が来年・再来年まで使えることを前提に、残す科目の組み合わせを設計します。
当サイトの実測ではどうだったか(まだ結論は出せません)
令和8年度の問題の初回解答は797件。信頼区間が重なっていて、科目間の差はまだ言えません。
当サイトには令和8年度の227問が収録されています。この記事を書いた時点で、その227問に対する初回解答(同じ人が同じ問題を解いた場合は1回目だけ・模試モードと「わからない」は除外)は797件でした。科目別に正答率を出すと下表のようになりますが、母数が小さく、95%信頼区間が科目どうしで大きく重なっています。この段階で「今年はこの科目が解けていない」と言うことはできません。
| 科目 | 初回解答 | 実測正答率 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|---|
| 企業経営理論 | 178件 | 60.1% | 52.8〜67.0% |
| 運営管理 | 199件 | 58.3% | 51.3〜64.9% |
| 経営情報システム | 67件 | 56.7% | 44.8〜67.9% |
| 経営法務 | 106件 | 56.6% | 47.1〜65.6% |
| 経済学・経済政策 | 112件 | 52.7% | 43.5〜61.7% |
| 中小企業経営・政策 | 46件 | 52.2% | 38.1〜65.9% |
| 財務・会計 | 89件 | 51.7% | 41.5〜61.8% |
公式の科目合格率と当サイトの実測正答率は、そもそも数え方が違います(公式は「人」、当サイトは「問題」)。%の大小を直接比べることはできません。この2つの順位が揃うかどうかは、19年分のデータで別途検証しています(揃いませんでした)。
この記事のまとめ
- 令和8年度の試験合格率は23.0%(4,099人)。20年平均24.9%をわずかに下回りました。
- 経済学・経済政策8.5%と運営管理9.9%が同時に10%を割りました(20年で8回目)。
- 同じ年に企業経営理論は32.9%。1年の中で3.8倍の開きがあります。
- 前年の科目合格率から翌年は読めません(20年133組の対応で ρ=+0.03、p=0.73)。
よくある質問
- 科目合格率が低い科目は、難しい科目ということですか?
- そうとは限りません。公式の科目合格率の順位と、当サイトの実測正答率の順位は揃いませんでした(19年分・順位相関 ρ=−0.250)。科目合格率はその年の受験者集団の出来ばえで動く数字です。
- 来年はどの科目が易しくなりますか?
- 前年の数字からは予測できません。2007〜2026年度の同一科目「前年 → 翌年」133組で順位相関を取ると ρ=+0.03(p=0.73)でした。
- 科目合格者数に、試験全体に合格した人は含まれますか?
- 含まれません。公式の統計資料に「『科目合格者数』には『試験合格者数』は含みません」と注記があります。この記事の率もその定義で計算しています。

