事例Ⅳは計算科目ではない|19年74問のうち54問に字数制限がある
この記事の結論
- 事例Ⅳは19年74問のうち54問(73%)に字数制限があります。計算だけでは終わりません。
- 第1問は95%、最終問は94%が記述。計算が集中するのは真ん中の2問です。
- 最終問は19年中9回がリスク管理でした。財務の視点で助言する型が繰り返されています。
事例Ⅳは計算科目だと思われています。ところが2007〜2025年度の19事例・74問を数えると、73%にあたる54問に字数制限がありました。電卓を叩き終えたあとに、必ず日本語で書かせています。ここでは記述がどこに置かれ、何字で、何を問われてきたのかを集計し、対策の置き方を考えます。数値は試験実施機関が公表している問題PDFを機械的に読み取って集計したものです。
記述で始まり、記述で終わる
第1問の95%、最終問の94%に字数制限があります。計算だけの設問は、実質的に真ん中の2問だけです。
事例Ⅳを計算の練習だけで準備すると、最初と最後で手が止まります。第1問は経営分析の指摘、最終問は財務の視点からの助言で、どちらも日本語を書く設問です。
いちばん多いのは60字
字数の枠は60字以内が21回で最多。1年あたりの記述量は平均227字で、80分のうち10分前後を書く時間に取られます。
| 字数の枠 | 出現回数 | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| 20〜30字以内 | 12回 | 指標の名称や短い理由 |
| 40〜50字以内 | 19回 | 1つの論点を言い切る |
| 60字以内 | 21回 | 理由と結論を1文ずつ |
| 70〜100字以内 | 18回 | 複数の観点をまとめる |
| 150字・200字以内 | 2回 | 長文の助言 |
1年あたりの記述量は平均227字、最も多い年で410字、最も少ない年で30字でした。年による振れは大きいものの、近年5年は160〜330字の範囲に収まっています。
60字は、理由を1文と結論を1文で埋まる長さです。字数の枠を見た時点で、いくつの要素を入れられるかが決まります。書き始める前に要素の数を決めておくと、書き直しが減ります。
最終問は、リスクの話が繰り返されている
最終問の論点は19年中9回がリスク管理。為替や需要の不確実性にどう備えるかを、財務の言葉で助言させる型です。
リスク管理の設問は、計算を伴わない年が少なくありません。19年で10問出たうち9問に字数制限がついています。ここは計算力ではなく、財務の考え方を言葉にする力が問われます。
準備の方向は決まります。為替変動への備え、固定費と変動費の構成が利益の振れに与える影響、資金繰りの余裕といった論点を、40〜80字で言い切れるようにしておくことです。
計算のあとに書く時間を残す
227字を書くには10分前後かかります。計算に80分すべてを配ると、書く設問が空欄で残ります。
- 1開いたら、字数制限のある解答欄がいくつあるかを先に数える。合計字数から書く時間を見積もる。
- 2第1問と最終問を先に読む。どちらも記述なので、計算に入る前に何を書くかの当たりをつけておく。
- 3計算に詰まったら、書ける設問へ移る。記述は部分点が入る余地があり、空欄より必ず有利になる。
第1問と最終問はどちらも配点が20〜25点前後です。真ん中の計算2問に時間を吸われて、この2問を落とすのがいちばん重い失点になります。
この数字の使い方と限界
- 字数制限の有無を機械的に数えたもので、「計算がいらない設問」の数ではありません。計算したうえで説明を書かせる設問が多く含まれます。
- 設問が3問の年(2012・2013年度)があるため、設問位置ごとの分母がそろいません。最終問は17事例が分母です。
- 論点のラベルは当サイトが1問ずつ付けたものです。分類の粒度が違えば回数も変わります。
本記事の集計は当サイトの独自のものです。問題そのもの(与件文・設問文)の著作権は一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会に帰属します。全文は試験実施機関の公表資料でご確認ください。
この記事のまとめ
- 事例Ⅳは19年74問のうち54問(73%)に字数制限があります。計算だけでは終わりません。
- 第1問は95%、最終問は94%が記述。計算が集中するのは真ん中の2問です。
- 最終問は19年中9回がリスク管理でした。財務の視点で助言する型が繰り返されています。
よくある質問
- 事例Ⅳは計算だけできれば合格できますか?
- 19年74問のうち54問に字数制限があるので、計算だけでは半分以上の設問が埋まりません。特に第1問と最終問は9割以上が記述で、配点も20〜25点前後です。計算の練習と並行して、40〜80字で言い切る練習が要ります。
- 記述はどのくらいの分量を練習すればよいですか?
- 1年あたりの記述量は平均227字でした。近年5年では160〜330字です。過去問1事例を解くたびに、この分量を時間内に書く経験を積むのが素直です。字数の枠は60字以内がいちばん多いので、60字で1つの論点を言い切る型を先に作ると応用が効きます。
- 最終問は何を準備しておけばよいですか?
- 19年中9回がリスク管理でした。為替変動への備え、固定費と変動費の構成が利益の振れに与える影響、資金繰りの余裕といった論点が繰り返し問われています。ただし残る8回はセグメント別の意思決定や資金調達なので、リスク管理だけに絞るのは危険です。

