事例Ⅱの因果チェーン総覧|与件の言い回しを施策と効果に変換する29本
この記事の結論
- この総覧は実測ではなく、作成者の見立てです。9カテゴリ29本の変換表です。
- 第1問が現状分析だった年は19年中13年(68%)。ここは実測です。
- 一方で最終問は割れます。固まっているのは入口の1問だけ、というのが実態です。
- 分類の切り方が違えば数も変わります。2つの体系の数字を足さないでください。
このサイトの記事は、ほとんどが実測データです。この記事は違います。中身は「与件の言い回し→理論・施策→効果」という変換辞書で、作成者の経験則をまとめたものです。ただし、この見立てが示す骨格のうち2点だけは、当サイトが別に持っている19年77問の集計で確かめられました。どこまでが見立てで、どこからが実測なのかを分けて示します。
この総覧は実測ではなく、見立てです
9カテゴリ29本の変換表は作成者の経験則です。当サイトの実測とは別ものとして読んでください。
事例Ⅱの設問は、与件に書かれた店や商品の様子を読み替えて施策に置き換え、効果まで書く形が多くなります。この総覧は、その置き換えの型を9カテゴリ29本に整理したものです。
並んでいる理論や施策は、STPや関係性マーケティングのように、この試験で広く使われている言葉です。当サイトが作った分類ではありません。どの言い回しにどれを当てるかの組み合わせが、作成者の見立てにあたります。
使い方は単純です。左列の言い回しを見たら、中列と右列がすぐ出てくる状態にしておきます。答案では矢印を接続語に変えるだけで、文の骨格ができます。
以降の表には、見立てか実測かをキャプションに必ず書いています。表だけを拾い読みするときは、そこを先に見てください。
固まっているのは第1問だけ(ここは実測)
第1問は現状分析が19年中13年。一方で最終問は割れます。準備の重心を入口に置ける、という意味です。
第1問は、当サイトの実測でも13年で現状分析でした。強み・弱み・機会・脅威を並べるか、3Cで整理するかの違いはあっても、聞かれているのは同じ「いまどうなっているか」です。ここは型を先に作れます。
第2問より後ろは読めません。最終問の内訳はプロモーション4年/チャネル・立地・EC4年/協業・地域連携4年で、上位が団子になっています。事例Ⅲの最終問(19年中16年が同じ論点)とは、まるで様子が違います。
だから準備は二段構えになります。第1問は書き方まで固めておき、残りは変換表から引く。この記事の表は、後者のためのものです。
見立ての9分類は、実測のラベルと重ならない
見立ての1カテゴリが実測の1ラベルに対応するとは限りません。2つの体系の数字を足さないでください。
| 当サイトの実測ラベル | 19年での設問数 | 対応する見立てのカテゴリ |
|---|---|---|
| プロモーション | 15問 | プロモーション/口コミと発信 |
| 現状分析(SWOT・3C) | 14問 | 現状分析とターゲット |
| 関係性強化・愛顧 | 9問 | 関係性強化・愛顧 |
| チャネル・立地・EC | 8問 | チャネル・立地 |
| ターゲット・セグメント | 8問 | 現状分析とターゲット |
| 製品・サービス開発 | 8問 | 製品・サービス開発/地域資源とこだわり |
| 競争戦略・差別化 | 5問 | 現状分析とターゲット/地域資源とこだわり |
| 協業・地域連携 | 5問 | 協業・地域連携 |
| 従業員・インターナル | 3問 | 従業員・接客 |
| 価格・販売方法 | 2問 | 価格と売り方 |
実測は10ラベル、見立ては9カテゴリです。数が近いので一致しそうに見えますが、中身は重なりません。実測の「競争戦略・差別化」は、見立てでは現状分析と地域資源の2つに割れています。
使うときは、どちらか一方の体系に統一してください。2つの数字を足したり、割合の分母に混ぜたりすると、実態と合わない数になります。
1枚のまとめ(保存して使う)
下の9分類・29本を1枚にしました。演習中に横に置いて、左の言い回しから引くのが使い方です。

誰に何を売るかを、施策へ変換する5分類
前半5カテゴリは「誰に・何を・どこで・どう伝えるか」です。分析から入り、関係づくりで締めます。
現状分析とターゲット(4本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 客層が高齢化している・若い世代が来ない | セグメントを切り直してターゲットを再設定する | 新規顧客の獲得 |
| 誰にでも売ろうとしている | ターゲットの絞り込み(誰の何を解決するか) | 訴求の一貫性・費用対効果 |
| 近くに大型店や競合ができた | 差別化集中戦略(大手が取りにくい層・こだわりで勝負する) | 価格競争の回避 |
| 地域の人口が減っている | 商圏の外へ出る(ECや広域の催事)・来店頻度を上げる | 売上の維持・機会の確保 |
地域資源とこだわり(3本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 地元産の素材にこだわっている | 地域資源の訴求(産地・製法を物語として伝える) | 差別化・付加価値の向上 |
| 昔ながらの製法・職人がいる | 作り手を見せる(人と技を前面に出した発信) | 想起されやすさ・愛顧 |
| 観光客が増えている | 観光の需要に合わせた商品と売り場(土産・体験) | 新規顧客・客単価の向上 |
チャネル・立地(4本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 卸売中心で顧客の顔が見えない | 直販(実店舗・自社EC)への展開 | 顧客情報の取得・粗利の改善 |
| 店が狭い・立地が悪い | 予約・移動販売・宅配で接点を作る | 機会損失の削減 |
| ネットで売りたい | 自社ECとECモールを役割で使い分ける | 商圏の拡大 |
| 催事やイベントに出ている | 催事での試食や名簿の獲得を次につなぐ | 新規獲得から関係づくりへ |
プロモーション(4本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 知られていない・認知が低い | 誰に何を伝えるかを決めてから発信する | 認知の向上 |
| チラシを撒いても反応がない | ターゲットに合う媒体と内容に変える | 費用対効果の改善 |
| 口コミで広がっている | 口コミが起きる仕掛けを作る(体験・共有したくなる場面) | 低コストでの新規獲得 |
| 常連はいるが新規が来ない | 紹介の仕組み・体験イベント | 新規顧客の獲得 |
関係性強化・愛顧(4本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 一度きりの客が多い | 会員組織やアプリで再来店を促す | 再購入・来店頻度の向上 |
| 顧客の情報を活かせていない | 購買履歴に基づく個別の提案 | 客単価と頻度の向上 |
| 常連の要望を商品に反映したい | 双方向の場(イベント・SNS)で声を集める | 商品改良・愛顧の醸成 |
| 顧客との関係が薄い | 継続的な接点を設計する(関係性マーケティング) | 固定客化・長期の収益 |
5つのどれも、行き着く先は「知ってもらう」か「また来てもらう」のどちらかです。施策の名前を覚えるより、与件のどの一文がその施策を呼んでいるかを結び付けてください。
商品と体制を、施策へ変換する4分類
後半4カテゴリは、売り方の裏側です。製品開発・価格・協業・従業員の順に並びます。
製品・サービス開発(3本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 新しい商品を作りたい | ターゲットの使う場面から発想する | 買う理由の明確化 |
| 季節で売上が偏る | 閑散期に売れる商品やサービスを作る | 売上の平準化 |
| 単価が安く利益が出ない | 高付加価値なセットやギフトに仕立てる | 客単価の向上 |
価格と売り方(2本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 値下げを求められる・安売り競争 | 価格以外の価値(サービス・保証・提案)で応える | 収益性の維持 |
| ついで買いが少ない | 関連する商品を組み合わせて薦める | 客単価の向上 |
協業・地域連携(3本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 商店街や同業者と一緒に何かしたい | 共同での催事・共同販促 | 集客の相乗効果 |
| 異業種と組む話がある | 互いの顧客を送り合う仕掛けを作る | 新規顧客の獲得 |
| 自治体や公的機関の支援がある | 支援を信用と広報の獲得に使う | 信頼の獲得・費用の軽減 |
従業員・接客(2本)
| 与件の言い回し | 理論・施策 | 効果 |
|---|---|---|
| 従業員の接客が売りになっている | 教育と権限で接客を強みとして育てる | 接客品質・愛顧の醸成 |
| 人手が足りず接客が回らない | 役割分担とパートの戦力化 | サービス品質の維持 |
後半は、売り方だけでは答えになりません。誰が売るのか、いくらで売るのか、誰と組むのかまで書いて、はじめて実行できる提案になります。
読み替え・ターゲットを先に決める・与件にないことは書かない
得点はキーワードではなく因果の鎖に付きます。この3原則が、変換表を答案に変える手順です。
読み替えの原則
左列を見たら中列と右列が即座に出る状態を作ります。清書は、矢印を接続語に変える作業に落とせます。「理由は〜」「具体的には①②」「もって〜」の3つでつなぎます。
ターゲットを先に決める
この事例の施策は、誰に向けたものかで正誤が変わります。第1問で作った現状認識から、まず誰を狙うかを決めてください。ターゲットが書かれていない施策は、効果までつながりません。
与件にないことは書かない
一般論での穴埋めは事故の元です。SNSやECを、根拠なく投入しないでください。各文について「与件の何行目か」を指させるか自問し、指せない文は削除します。
この記事で言えないこと
- 変換表は作成者の見立てです。当サイトの実測で確かめたのは、第1問が固く最終問が割れるという骨格の2点だけです。
- 実測は10ラベル、見立ては9カテゴリです。数は近くても中身は重なりません。2つの体系の数字は足し合わせられません。
- 並んでいる理論や施策は、この試験で一般に使われている言葉です。当サイトが作った分類ではありません。
- 19年という窓は、事例Ⅱでは19事例しかありません。68%は、残る年で外れた実績があるという意味でもあります。
- 2次試験は正解が公表されません。この総覧は答案を組み立てる手順であって、点が入ることを保証するものではありません。
本記事の変換表は作成者の見立て、実測部分は当サイトの独自集計です。問題そのもの(与件文・設問文)の著作権は一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会に帰属します。全文は試験実施機関の公表資料でご確認ください。
この記事のまとめ
- この総覧は実測ではなく、作成者の見立てです。9カテゴリ29本の変換表です。
- 第1問が現状分析だった年は19年中13年(68%)。ここは実測です。
- 一方で最終問は割れます。固まっているのは入口の1問だけ、というのが実態です。
- 分類の切り方が違えば数も変わります。2つの体系の数字を足さないでください。
よくある質問
- この変換表は実測データですか?
- いいえ。9カテゴリ29本の中身は作成者の経験則であって、集計した結果ではありません。実測で確かめたのは、第1問が現状分析だった年が19年中13年であること、その一方で最終問は割れることの2点だけです。表を読むときは、各表のキャプションで見立てか実測かを確認してください。
- 第1問だけ準備すれば足りますか?
- 足りません。第1問は型を先に作れますが、配点の多くは第2問より後ろにあります。そこは何が来るか読めないので、変換表から引く形で備えます。第1問で作った現状認識を後の設問で使い回すのが、この事例の基本の流れです。
- 施策はいくつ書けばよいですか?
- 100字前後の設問なら1〜2つです。3つ書くと、誰に向けたものかと効果が書けなくなります。どれを選ぶかより、選んだ施策で誰に何が届くのかを書き切るほうが答案になります。
- 施策の名前を覚えれば点になりますか?
- この総覧の前提は逆です。得点はキーワードではなく因果の鎖に付く、という見立てに立っています。施策の名前だけを置いても、与件のどの記述から来たのか、誰にどんな効果があるのかが書かれていなければ鎖になりません。与件に根拠を指させない文は削ってください。

