令和8年度 事例ⅡをAI3つが解いた|ターゲットまで3つがそろった
この記事の結論
- 別々の会社が作った3つのAIに、同じ問題文だけを配りました。
- 第3問と第4問のターゲットは、3つとも同じ相手を選びました。
- 割れたのは第2問と第4問で、書き添えた施策の違いです。
- そろった要素は、本番で落とせない要素だと当サイトは見ています。
令和8年度 事例Ⅱの問題文だけを、別々の会社が作った3つのAIに独立して配り、出てきた答案を突き合わせました。この記事は本試験の当日に作った記録で、公式の解答も出題の趣旨もまだありません。照らし合わせる相手は3つのAIどうしだけです。それでも、誰に何を売るかという事例Ⅱの芯で、3つがどこまでそろったかは分かります。答案は原文のまま載せています(1か所だけ抜粋で、その旨は表の下に書いています)。
別々の会社が作った3つのAIに、同じ問題文を配った
渡したのは問題文と、3つに共通の指示書だけです。互いの答案は見せていません。
別々の会社が作った3つのAI(本稿ではAI(A)・AI(B)・AI(C)と呼びます)に、同じ指示書と同じ問題文だけを配りました。3つとも、他の2つが何を書いたかを知らないまま解いています。予備校の答案例も、当サイトの解説も渡していません。
問題文は、試験当日に受験者の問題冊子の写真から当サイトが書き起こしたものです。本文で段落の番号を書くときは、問題冊子の与件文の段落を頭から数えた番号を使います。
2次試験に公式解答は公表されません。令和8年度の出題の趣旨もまだ公表されていないため、この記事は趣旨を引用していません。比べる相手は3つの答案どうしだけで、答案に○×は付けません。
4問とも、拾った材料の芯は3つでそろった
強み・弱み、パンフレットの中身、2つの設問のターゲットまで、芯の要素は3つでそろいました。違いは書き添えた施策です。
| 設問 | 3つがそろって書いた要素 | 書き添えの違い |
|---|---|---|
| 第1問(a) 強み | 前職で身につけた接客と催事企画の経験/人脈で複数の農家から質の高いかんきつを仕入れられる/後輩の店で評価されたパウダー商品 | AI(A)だけが村の人々の歓迎と信頼を足した |
| 第1問(b) 弱み | 社長夫妻の2人だけで経営の専門教育を受けていない/加工設備がなく生産を外に頼る/自社で築いた販売先・取引先が少ない | AI(A)だけが産地の評価が村と周辺にしか知られていない点を足した |
| 第2問 パンフレットの中身 | 農家ごとの栽培技術とこだわり/品種ごとの収穫時期(年に何度も買ってもらう入口)/自家消費用・贈答用の案内/産地に来なくても買える注文方法 | 食べ方とパウダー商品の紹介(AI(A))、畑の風景(AI(A)とAI(C)) |
| 第3問 新しい取引相手と施策 | 隣の温泉街のホテル・旅館を狙う/後輩の店の実績と調理例で売り込む/X村産と明示してもらい、産地の認知を上げて取引を続ける | AI(A)とAI(C)は土産物の事業者も相手に含めた |
| 第4問 関係人口のつくり方 | ふるさととの関わりを望む都市部の元住民と、温泉街の観光客の2者/返礼に収穫体験や後輩の店の食事/農作業に関わり続けてもらい畑と山を保つ | 木のオーナー制(AI(A))、ベテラン農家からの技術の継承(AI(B)) |
事例Ⅱでいちばん大きな判断は、誰を相手にするかです。第3問と第4問は、どちらも答案の中でターゲットを決める設問でした。ここで3つが同じ相手を選んだことが、この回の記録でいちばん大事な事実です。
第1問の強みと弱みは、同じ3点が軸になった
強みは経験・仕入れ・商品、弱みは人・設備・販路。3つとも同じ3点を軸にしました。
第1問は配点20点で、B社の強みと弱みを100字以内ずつ書く設問です。
| AI | 第1問(a) 強みの答案(原文のまま) |
|---|---|
| AI(A) | ②社長の人脈で複数農家から皮まで安全で香りと色に秀でた高品質なかんきつを仕入れる点、③村民の歓迎と信頼、④後輩の店で評価された香りの強いパウダー商品。 |
| AI(B) | 社長の人脈により複数農家から高品質のかんきつを仕入れられること、テーマパークで培った接客・催事企画力、後輩店との関係と、香りが強く多用途で保存性に富む軽量なパウダー商品を持つことである。 |
| AI(C) | 強みは、①社長のテーマパークでの接客や催事企画の経験、②人脈を生かし実家を含む村の複数農家から高品質なかんきつを仕入れられる点、③料理人の後輩との人脈や高評価で保存性に富み軽量なパウダー商品。 |
| AI | 第1問(b) 弱みの答案(原文のまま) |
|---|---|
| AI(A) | ①従業者が社長夫妻2名のみで経営の専門教育経験がない点、②加工設備を持たず生産を外部に委ねる点、③設立間もなく独自の販売先・取引先が少なく、X村のかんきつの認知が村と周辺にとどまる点。 |
| AI(B) | 社長と妻の2名体制で、経営の専門教育を受けた経験がなく、独自の販売先・取引先が少ないこと。自社農地と加工設備を持たず、かんきつの仕入れや加工品の生産を外部に依存することである。 |
| AI(C) | 弱みは、①従業者が社長と妻の2名のみで、社長に会社経営の専門的な教育を受けた経験がない点、②自社で農地や加工設備を持たず生産を外部委託している点、③設立間もなく独自の販売先や取引先が少ない点。 |
書き添えに違いが出たのはAI(A)だけです。強みに村の人々の歓迎と信頼を、弱みに産地の評価が村と周辺にしか知られていない点を足しました。後者についてAI(A)は、産地の課題をB社の販路の弱さとして含めた、と自分で断っています。
AI(C)は、村の人々の歓迎も強みになると認めたうえで、主な3点に絞ったと書き添えています。同じ材料に気づいていて、入れるか外すかの判断だけが違ったことになります。
100字の器なら、3点でも4点でも入ります。軸の3点がそろっていることのほうが大事で、書き添えは字数が余ったときの上乗せだと当サイトは見ています(見立て)。
第2問は、年に何度も買ってもらう仕掛けがそろった
品種ごとの収穫時期を見せて、時期ごとに買ってもらう。この仕掛けを3つとも答案の柱にしました。
第2問は配点25点、150字以内です。年に1回しか箱で買わない高齢の得意客に、年に何度も買ってもらうため、農家ごとの特徴を伝えるダイレクトメールに何を載せるかを問うています。
| AI | 第2問の答案(原文のまま) |
|---|---|
| AI(A) | ①各農家が栽培する収穫時期の異なる複数品種の旬の時期と、時期ごとの注文受付案内、②各農家の生産者紹介と栽培技術やこだわり、皮まで安全で香りと色に優れた品質、③皮まで使える食べ方やレシピ、パウダー商品の紹介、④自家消費・贈答用の詰め合わせ、⑤産地の景観や作業の様子と電話等の簡便な注文方法。 |
| AI(B) | 各農家が栽培するかんきつの品種と収穫時期を年間のカレンダーで示し、時期ごとの箱買いを提案する。農家ごとの栽培技術やこだわり、皮まで食べられる安全性、香り・色・おいしさを紹介し、自家消費用・贈答品用の商品の案内と、産地に来なくても購入できる方法を掲載する。 |
| AI(C) | 掲載情報は、①各農家の歴史や人柄、皮まで安全で香りと色を引き出す秀でた栽培技術等の特徴、②収穫時期の異なる複数のかんきつの品種ごとの甘味・酸味・芳香の特徴と出荷時期の一覧、③足を運べない高齢客に産地を感じさせる美しいかんきつ畑の風景、④自家消費や贈答品用の定期購入や注文方法の案内である。 |
3つがそろった理由は、設問の条件にあると当サイトは読みました。得意客は年に1回しか買わず、産地にも来にくい。そこで収穫時期の違う品種を並べて次の買い時を示し、来なくても買える方法を添えます。条件の1つずつに、載せる情報が1つずつ対応しています。
書き添えた情報は分かれました。AI(A)は皮まで使える食べ方とパウダー商品の紹介を載せ、AI(A)とAI(C)は畑の風景を載せています。電話などの注文方法についてAI(A)は、与件文には無く、得意客が高齢になっている点から補ったと書き添えました。
第3問の新しい相手は、3つとも隣の温泉街だった
相手は温泉街のホテル・旅館、売り込む材料は後輩の店の実績。X村産と明示してもらう点まで、3つとも同じでした。
第3問は配点25点、150字以内です。後輩の店での実績を踏まえ、X村のブランドづくりにつながる形で、新しい事業者と続く取引をどう作るかを問うています。ターゲットを明確にする条件が付いています。
| AI | 第3問の答案(原文のまま) |
|---|---|
| AI(A) | ターゲットは隣接温泉街のホテル・旅館と土産物を扱う事業者。後輩の店の実績と試用品で香りの強さや調理用途の広さを訴求し、料理や菓子・土産加工品の共同開発を提案する。保存性と軽量さで安定供給を約し、メニューや包装に「X村のかんきつ」を明記してもらい、観光客の認知を高めブランド化と継続取引を図る。 |
| AI(B) | 隣接温泉街のホテル・旅館を狙う。後輩店での継続使用実績と調理例を示し、香りの強さ、多用途性、保存性と軽量性を訴求して試用を促す。地域産品を使う料理や土産物への採用を提案し、X村産かんきつの使用を明示してもらい、産地の認知度を高めながら継続取引につなげる。 |
| AI(C) | 新たなターゲットは、隣接する温泉街のホテル・旅館等の宿泊施設や土産物製造販売事業者である。施策は、①皮まで安全で素材本来の香りが強く多様な調理用途に好適な点や軽量で保存性に富む点を、後輩の店での実績やレシピと共に提案し、②X村産を冠した料理提供や加工品の土産物を共同企画・開発し継続取引する。 |
温泉街を相手に選んだ根拠も同じです。村の隣に宿の多い温泉街があり、地域の産品を使った土産物が観光客に好まれている、という段落です。パウダー商品が軽くて日持ちすることも、取引を続ける材料として3つとも使いました。
AI(A)とAI(C)は、ホテル・旅館に加えて土産物の事業者も相手に含めました。AI(B)は相手をホテル・旅館に絞り、土産物は採用を勧める先として書いています。どこまでを相手と呼ぶかの違いで、拾った材料は同じです。
第4問は、2つのターゲットまで3つが一致した
都市部に出た元住民と、温泉街の観光客。2つ以上と求められたターゲットを、3つとも同じ2者にしました。
第4問は配点30点、150字以内です。離農を考えるベテラン農家の相談に応え、クラウドファンディングで関係人口を増やして畑と山を保つ施策を問うています。ターゲットを2つ以上挙げ、それぞれの関わり方を示す条件があります。
| AI | 第4問の答案(原文のまま) |
|---|---|
| AI(A) | ①ふるさととの関わりを望む都市部の元住民には、かんきつの木のオーナー権をクラウドファンディングの返礼とし、収穫ピーク時の援農や剪定に繰り返し参加してもらう。②温泉街の観光客には、収穫体験と後輩の店での食事会、収穫品の定期配送を返礼とし、景観の中で生産者と交流して再訪を促し、畑と山の維持を共に担う。 |
| AI(B) | 故郷との関わりやUターンを望む元住民には、ベテラン農家から栽培技術を学び年間の農作業に通う機会を、隣接温泉街の観光客には、毎年のかんきつ収穫・生産者との交流と後輩店での食事を返礼としてクラウドファンディングを募る。継続支援と再訪を促し、栽培技術を継承して畑と山を維持する。 |
| AI(C) | ターゲットは①ふるさととの関わりを望む都市部の元住民、②隣接する温泉街の観光客。社長の催事企画力を生かし、返礼品としてかんきつや後輩の店の食事、温泉街宿泊と連動した通年の栽培・収穫体験や交流行事を企画する。①は収穫期の作業支援や里帰り、②は観光を兼ねた農作業体験で継続的に関わり山を維持する。 |
3つとも、元住民と観光客で関わり方を分けています。元住民には農作業に通い続けてもらい、観光客には収穫体験や後輩の店での食事を返礼にして再訪を促します。ターゲットごとに関わり続ける形を示す、という設問の条件に沿った形です。
書き添えた仕掛けは分かれました。AI(A)はかんきつの木のオーナー権を返礼にし、AI(B)はベテラン農家から栽培技術を学ぶ機会を元住民に用意しました。AI(B)の案は、相談してきた農家の技術を引き継ぐ点で、依頼の中身に直接こたえていると当サイトは読みました。
3つがそろった事例Ⅱを、本番の答案とどう比べるか
まずターゲットが3つと同じかを確かめます。違っていたら、その相手を選んだ根拠が与件文にあるかを見直します。
- 1第3問と第4問のターゲットを、3つの答案と比べる。違う相手を選んでいたら、それが与件文のどの段落に支えられているかを確かめます。
- 2第2問は、設問の条件の1つずつに答えたかを確かめる。年に1回しか買わない、産地に来にくい、という2つの条件に、それぞれ対応する情報が載っているかです。
- 3書き添えの違いは、正誤ではありません。自分が書き添えた施策が与件文の材料から出ているなら、それで構いません。
令和8年度の事例Ⅱは、3つの判断が大きく割れる設問がありませんでした。ただし、そろった答案が高い点を取るかどうかを確かめる外の基準は、今の時点ではまだありません。
解答用紙の形で3つの答案を見る
本試験と同じつくりの用紙に、3つのAIの答案をそのまま入れました。上のボタンで切り替えられます。どれも正解ではありません。
令和8年度 第2次筆記試験 事例Ⅱ(解答用紙)
AI(A)の答案
第1問(配点20点)
(a)
①テーマパークで培った接客や催事企画の感覚、②社長の人脈で複数農家から皮まで安全で香りと色に秀でた高品質なかんきつを仕入れる点、③村民の歓迎と信頼、④後輩の店で評価された香りの強いパウダー商品。
(b)
①従業者が社長夫妻2名のみで経営の専門教育経験がない点、②加工設備を持たず生産を外部に委ねる点、③設立間もなく独自の販売先・取引先が少なく、X村のかんきつの認知が村と周辺にとどまる点。
第2問(配点25点)
①各農家が栽培する収穫時期の異なる複数品種の旬の時期と、時期ごとの注文受付案内、②各農家の生産者紹介と栽培技術やこだわり、皮まで安全で香りと色に優れた品質、③皮まで使える食べ方やレシピ、パウダー商品の紹介、④自家消費・贈答用の詰め合わせ、⑤産地の景観や作業の様子と電話等の簡便な注文方法。
第3問(配点25点)
ターゲットは隣接温泉街のホテル・旅館と土産物を扱う事業者。後輩の店の実績と試用品で香りの強さや調理用途の広さを訴求し、料理や菓子・土産加工品の共同開発を提案する。保存性と軽量さで安定供給を約し、メニューや包装に「X村のかんきつ」を明記してもらい、観光客の認知を高めブランド化と継続取引を図る。
第4問(配点30点)
①ふるさととの関わりを望む都市部の元住民には、かんきつの木のオーナー権をクラウドファンディングの返礼とし、収穫ピーク時の援農や剪定に繰り返し参加してもらう。②温泉街の観光客には、収穫体験と後輩の店での食事会、収穫品の定期配送を返礼とし、景観の中で生産者と交流して再訪を促し、畑と山の維持を共に担う。
この記事で言えないこと
- 照らし合わせた相手は3つのAIの答案どうしだけです。3つの一致が唯一の照合で、予備校の解答や再現答案、当サイトの解説のような外の基準はありません。
- この記事は本試験の当日に作った記録です。出題の趣旨はまだ公表されておらず、引用もしていません。
- 3つが一致したことは、その答案が高い点を取ることを意味しません。公式解答は公表されず、この答案は採点されていません。得点の見立ても出していません。
- AIの答案は、人間の受験生の答案の代わりにすぎません。3つがそろった場所でも、受験生の答案は割れることがあります。
答案と要素の分け方は当サイトの独自のものです。問題(与件文・設問文)の著作権は一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会に帰属します。全文は試験実施機関の公表資料でご確認ください。
この記事のまとめ
- 別々の会社が作った3つのAIに、同じ問題文だけを配りました。
- 第3問と第4問のターゲットは、3つとも同じ相手を選びました。
- 割れたのは第2問と第4問で、書き添えた施策の違いです。
- そろった要素は、本番で落とせない要素だと当サイトは見ています。
よくある質問
- ターゲットが3つのAIと違ったら、本番で失点したということですか?
- 分かりません。2次試験に公式解答は公表されず、出題の趣旨もまだ公表されていないためです。3つの一致は、同じ材料から素直に読むとそこへ着く、という意味にとどまります。違う相手を選んだ根拠が与件文にあるかを確かめてください。
- 第1問のAI(A)の強みは、なぜ途中からしか載っていないのですか?
- 答案の①に、与件文と同じ言い回しが長く続く部分があるためです。当サイトは与件文を地の文に長く写さない決まりで記事を書いており、その部分だけ載せていません。①の中身は、表の下の説明に当サイトの言葉で書いています。
- 3つのAIは、どこの会社のものですか?
- 別々の会社が作ったAIですが、製品名は出していません。答案の読み方はどの製品だったかで変わらず、製品名を書くと記事の寿命が製品の版に縛られるためです。

