中小企業診断士2次|設問の型は4つ、ほぼ分析と助言の2つ
この記事の結論
- 設問の型は、出題の趣旨の「〜する能力」の言葉で、分析・説明・考察・助言の4つに分けられます。
- 2018〜2025年度の事例Ⅰ〜Ⅲ・110問のうち、105問は分析型と助言型だけでした。
- 第1問は24事例すべてが分析型を含み、最終問は24事例中23が助言型を含みます。
- 型は「何を問われたか」の目印です。型を守れば点が上がるかは、まだ測れていません。
2次試験の設問は、出題の趣旨の言葉で4つの型に分けられます。当サイトで解ける2018〜2025年度(平成30〜令和7年度)の事例Ⅰ〜Ⅲ・110問を分けると、105問は分析型と助言型だけでした。4つの型は、読み取る「分析型」、言い表す「説明型」、比べて判断する「考察型」、打ち手を示す「助言型」です。この記事では、型の決め方、事例ごとの偏り、型ごとに自分の答案で確かめることを順に示します。最後に、型について「分かっていること」と「まだ分からないこと」を分けて書きます。
設問の型は、出題の趣旨の言葉で決める
型は設問文の書き方ではなく、出題の趣旨が挙げている「〜する能力」の言葉で決めます。13の言葉を4つに束ねました。
出題の趣旨は、一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会が設問ごとに「何を問うたか」を公表している文です。多くは「〜する能力を問う問題である」という定型文で書かれています。この「〜する能力」に入る言葉を13個拾い、同じ働きのものを束ねて4つの型にしました。
| 型 | 束ねた言葉 | 趣旨が求めていること |
|---|---|---|
| 分析型 | 分析・把握・理解・診断 | 与件の事実から、状態や原因を読み取る |
| 説明型 | 説明・記述・指摘 | 問われた対象を、与件の根拠をつけて言い表す |
| 考察型 | 考察・評価・検討 | いくつかの見方を比べて、判断の理由を示す |
| 助言型 | 助言・提案・立案 | 課題に対する打ち手と、その狙い・効果を示す |
文末の形(体言止めか文章か)や字数、主語の有無は型にしていません。当サイトの答案データでは、これらが点を分けている様子が見えなかったためです。
2018〜2025年度の110問は、ほぼ分析か助言
110問のうち105問は分析型と助言型だけで、説明型は3問、考察型は2問でした。直近8年の事例Ⅰ〜Ⅲは、ほぼ「読み取るか、打ち手を出すか」の2択です。
事例ごとの偏り
| 事例 | 問数 | 分析型 | 説明型 | 考察型 | 助言型 |
|---|---|---|---|---|---|
| 事例Ⅰ | 39 | 24(62%) | 2 | 2 | 12(31%) |
| 事例Ⅱ | 33 | 10(30%) | 0 | 0 | 24(73%) |
| 事例Ⅲ | 38 | 13(34%) | 1 | 0 | 29(76%) |
事例Ⅰは分析型が6割を占め、事例Ⅱ・事例Ⅲは助言型が7割を超えます。14年分の趣旨で数えた既存の集計とも同じ傾向です。ただし14年分では、事例Ⅱは分析と助言の中間でした。直近8年で助言型が73%まで上がるのは、事例Ⅱの助言型24問のうち9問が「提言する能力」を助言型に数えたものだからでもあります。
考察型は2問とも令和5年度の事例Ⅰ、説明型の3問も平成30年度と令和2年度に集まっています。4つの型を頭に入れておく意味は、珍しい型が来たときに「助言ではない」と気づけることにあります。
型の決め方の内訳
型の決め方の内訳を、解答欄の数で示します。133の解答欄のうち115は、13の言葉で機械的に決まりました。残る18は趣旨の原文を読んで決めています。「提言する能力」の11欄(事例Ⅱ10欄・事例Ⅰ1欄)は助言型、「明らかにする能力」の1欄は説明型です。「内部環境分析に関わる問題」のように13語が名詞として出てくるだけの趣旨や、「理由」「目的」「貢献できる点」を問う趣旨の4欄は分析型にしました。残る2欄は平成30年度 事例Ⅲの第2問・第3問で、趣旨に「その問題を解決する能力」とあるため、分析型に助言型を足しています。
型ごとに、自分の答案で確かめること
書き終えたら、型ごとに3つずつ確かめます。とくに分析型の設問に打ち手を書いていないか、助言型の設問で打ち手が課題と対になっているかを見ます。
分析型(読み取る)
- 書いた要素は、与件のどの段落の事実から来ていますか。
- 問われた時点や対象(いつの・誰の)からずれていませんか。
- 打ち手を書いていませんか。趣旨が求めているのは読み取りです。
説明型(言い表す)
- 問われた対象そのものを、最初に言い表していますか。
- 言い表した内容に、与件の根拠が添えてありますか。
- 設問が聞いていない打ち手や評価を足していませんか。
考察型(比べて判断する)
- 比べている見方(何と何か)が、答案の中で分かりますか。
- 判断の理由が、与件の事実と結びついていますか。
- 結論だけで終わらず、なぜそう考えるかを書いていますか。
助言型(打ち手を示す)
- 打ち手が、与件にある課題と対になっていますか。
- 打ち手ごとに、狙いや効果を書いていますか。
- 設問の条件(誰に・何を・どの観点で)に沿っていますか。
2つの型を持つ設問
2つの型を持つ設問(「把握し、助言する」など)は、後ろの型で確かめてください。前の型は、後ろの型を書くための材料を集める段階だからです。
型について分かっていること
当サイトのデータで支えられているのは、趣旨の並び方と、要素の数や字数が点に直結しないことの2つまでです。
- 第1問は分析、最終問は助言で終わる形は、平成24〜令和7年度の14年分の趣旨でもほぼ崩れていません。第1問が「分析」の事例は39事例中38、最終問が「助言」か「提案」の事例は37事例中34です(当サイトの実測。分母は趣旨から能力を読み取れた事例で、数えたのは「分析」「助言」「提案」の語だけ。上の8年分の型とは数え方が違います)。
- 加点要素をどれだけ満たしたかと開示得点の相関(−1〜+1で関係の強さを表す値)は +0.28 で、弱い関係です(加点表を改訂したあとの値)。令和6年度 事例Ⅰ・再現答案260セットの1事例だけの実測で、加点表を作ったのと同じ答案で測っています。要素を足すほど点になる、とは言えません。
- 字数を超えた答案と超えていない答案の得点差は −1〜0点と小さく出ています(当サイトの実測。2018〜2025年度の事例Ⅰ〜Ⅲの再現答案を設問単位で数えた約10,700件・得点は自己申告)。ただし字数の上限は規則なので守ります。
型についてまだ分からないこと
型に合った答案ほど点が高いかは、まだ測れていません。以下は見立てか、探索的に見えただけのものです。
- 型と得点の関係は測っていません。型どおりに書いた答案と外した答案を、開示得点で比べたデータがまだ無いためです。
- AI4者に6事例を解かせた試みもあります。打ち手が与件から1つに決まる設問では、AI4者が一致した要素と得点の高い答案の要素が重なりました。設問の狙いを読み替える設問では重なりません。令和7年度 事例Ⅱ第4問では、AI4者が一致した要素を書いた答案ほど得点が低い傾向(相関 −0.21・再現答案202セット)でした。ただしこの傾向は令和6年度 事例Ⅱでは再現せず、その設問に固有のものでした。どれも6事例だけの見立てです。
- 与件文の言葉をそのまま使う割合と得点には、相関 −0.09〜−0.11 の弱い関係が見えました(当サイトの実測。2018〜2025年度の事例Ⅰ〜Ⅲの答案2,319セット)。最初から狙って調べたものではなく、データを見直す中で見つかった参考値で、理由も特定できていません。
- 説明型と考察型は8年で合わせて5問しかなく、型ごとの傾向は言えません。
- 型の決め方は当サイトの判断です。18の解答欄は、機械ではなく趣旨の原文を読んで決めています。
演習画面「書院」で、書いたあとに型を見る
当サイトの演習画面「書院」では、各設問の答案欄の下に「書いたあとに型を見る」を置きました。書き終えてから開いて、この記事の3点で答案を確かめられます。
出題の趣旨は試験の後に公表される資料です。書く前に見ると、80分の本番練習にならなくなります。そのため最初は閉じてあり、開いたときだけ、その設問の型・出題の趣旨・分かっていること・確かめる3点が出ます。
本記事の集計は当サイトの独自のものです。出題の趣旨そのものの著作権は一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会に帰属します。全文は試験実施機関の公表資料でご確認ください。数値は2026年10月時点のものです。
この記事のまとめ
- 設問の型は、出題の趣旨の「〜する能力」の言葉で、分析・説明・考察・助言の4つに分けられます。
- 2018〜2025年度の事例Ⅰ〜Ⅲ・110問のうち、105問は分析型と助言型だけでした。
- 第1問は24事例すべてが分析型を含み、最終問は24事例中23が助言型を含みます。
- 型は「何を問われたか」の目印です。型を守れば点が上がるかは、まだ測れていません。
よくある質問
- 設問の型はどうやって決めたのですか?
- 出題の趣旨の「〜する能力」に入る言葉(分析・把握・理解・診断・説明・記述・指摘・考察・評価・検討・助言・提案・立案の13語)を4つに束ね、機械的に当てはめました。13語が出てこない趣旨(「提言する能力」など)や、13語が名詞として出てくるだけの趣旨は、原文を読んで決めています。平成30年度 事例Ⅲの第2問・第3問は、趣旨に「その問題を解決する能力」とあるため、原文を読んで助言型を足しました。
- 設問文だけで型は分かりますか?
- この記事の型は出題の趣旨の言葉で決めたもので、設問文とは突き合わせていません。解くときは設問文から型を予想して書き、解き終えたあとに出題の趣旨で確かめる使い方を勧めます。
- 事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで、設問の型に違いはありますか?
- あります。2018〜2025年度の110問(当サイトの実測)では、事例Ⅰは分析型が39問中24問(62%)、事例Ⅱは助言型が33問中24問(73%)、事例Ⅲは助言型が38問中29問(76%)でした。第1問は24事例すべてが分析型を含み、最終問は24事例中23が助言型を含みます。
- 型が合っていれば点は取れますか?
- 分かりません。型は「何を問われたか」の目印で、どう書けば点になるかは公表されていません。当サイトのデータで言えるのは、分析を問われた設問に打ち手を書くような、問われていないことを書く取り違えを型で防げる、というところまでです。

