中小企業診断士 事例Ⅳの時間配分|解く順番と見切り線の決め方
この記事の結論
- 万人共通の理想の分数はありません。他サイトの数字は発信者ごとにばらついています。
- 当サイトにも実測のタイムはありません。80分の内訳は字数からの試算です。
- 令和6・7年度で合計点の差を最もよく説明したのは、真ん中の計算2問でした。
- 空欄が残っているのも同じ2問の後半です。順番と見切り線は、自分の実測で決めます。
事例Ⅳで時間が足りなくなる人向けに、過去問3回分の所要時間を記録して、自分に合う解く順番と見切りの分数を作る手順をまとめました。
事例Ⅳの理想の時間配分は発信者ごとに違う
経営分析15〜25分・記述7〜14分あたりは重なります。CVPと投資判断への各配分は18〜30分で、2問合計60分という例もあります。
| 発信者 | 経営分析 | 記述 | CVP | 投資判断 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| きゃっしい(一発合格道場) | 22分 | 14分 | 18分 | 26分 | https://rmc-oden.com/blog/archives/108526 |
| 「理想配分」例(KOTORA JOURNAL) | 18分 | 7分 | 20分 | 30分 | https://www.kotora.jp/c/125629-2/ |
| のむらけい(note) | 25分 | 8分 | 25分(セールスミックス) | 22分(CVP15分+投資7分) | https://note.com/mypacecreator/n/n81947ac054aa |
| えいりん(タキプロ) | 20分 | 10分 | 60分(第2・3問合計) | 同左に含む | https://www.takipro.com/2jishikenknow-how/case4/128175/ |
| tomi(一発合格道場) | 15分目標・最大20分 | 10分以内 | 20〜30分 | 20分 | https://rmc-oden.com/blog/archives/213552 |
| S@bu(タキプロ) | 約15分 | 明記なし | 明記なし | 明記なし | https://www.takipro.com/2jishikenknow-how/case4/99275/ |
重なっているのは経営分析の15〜25分と、記述の7〜14分という帯だけです。CVPと投資判断への各配分は18〜30分に散らばり、2問を合計で60分と書く記事もあります。統一された正解の分数はありません。
「経営分析18分・投資30分・CVP20分・記述7分・見直し5分」という配分は、KOTORA JOURNALの記事が「理想的な配分」として紹介しているものです。ただし一次の発信者が記事上に示されておらず、誰の実測なのかを辿れません。
どれかを写しても、自分の手の速さがその人と同じでなければ本番で守れません。使えるのは分数そのものではなく、「経営分析と記述を先に片付ける人が多い」という骨格のほうです。
当サイトが記事で使っている「読む8分・書く9分・考える63分」も実測ではありません。読む速さを400字/分で2回、書く速さを25字/分と仮定し、実測の与件文字数1,587字と解答字数227字から逆算した試算です。字数は実測ですが、分に直す係数は仮定です。
合計点を説明した設問と、空欄が残る設問
令和6・7年度とも、合計点の差を最もよく説明したのは真ん中の計算2問でした。第1問の一致度はほぼ効いていません。
| 小問 | 一致した割合 | 他を同じにした差(点/1SD) |
|---|---|---|
| 令和6年度 第1問 設問1(指標名3つ) | 58% | 0.0 |
| 令和6年度 第2問 設問1(セールスミックス) | 54% | +7.3 |
| 令和6年度 第2問 設問2(Y社向け価格) | 19% | +0.2 |
| 令和6年度 第3問 設問1(差額CF) | 40% | +7.6 |
| 令和6年度 第3問 設問2(NPV) | 12% | +2.8 |
| 令和6年度 第3問 設問3(期待値NPV) | 1% | −0.4 |
| 令和7年度 第1問 設問1 | 82% | −0.5 |
| 令和7年度 第2問 設問1 | 63% | +5.0 |
| 令和7年度 第2問 設問2 | 48% | +3.8 |
| 令和7年度 第3問 設問1 | 70% | +2.1 |
| 令和7年度 第3問 設問2 | 50% | +8.2 |
効いているのは第2問と第3問の計算です。令和6年度は第2問設問1が+7.3点、第3問設問1が+7.6点。令和7年度は第3問設問2が+8.2点でした。一方で第1問の一致度は、両年ともほぼゼロです。
ただし計算2問の小問がすべて効いているわけではありません。令和6年度の第2問設問2は+0.2点、第3問設問3は−0.4点です。一致した人が19%と1%しかおらず、差がデータに写っていません。
ここから先は別の集計です。空欄の分布を見たのは再現答案677セット(2018〜2025年度)で、上の378件とは母集団が違います。同じ数の上に2つの話を重ねないでください。
| 設問 | 空欄だった答案 | 空欄率 |
|---|---|---|
| 令和4年度 第3問 設問3 | 39/76件 | 51.3% |
| 令和3年度 第2問 設問3 | 15/30件 | 50.0% |
| 令和5年度 第3問 設問2 | 32/93件 | 34.4% |
| 令和6年度 第2問 設問2 | 52/176件 | 29.5% |
| 令和4年度 第2問 設問2 | 17/76件 | 22.4% |
上位5つはすべて、計算2問の後半の小問です。空欄が実際に残っている場所で、見切りや時間切れの跡と考えられます。合計点の差がついている場所も、同じ2問のなかにあります。
ただし差のつき方は年で違います。令和6年度は手前の小問(第2問設問1 +7.3点、第3問設問1 +7.6点)で大きな差がつきました。令和7年度は後半の第3問設問2(+8.2点)にも差が出ています。
空欄率と得点には相関があります(−0.246)が、因果ではありません。空欄が多い人は準備不足や時間切れである可能性が高く、「空欄そのものが点を下げた」のか「実力が届かないから空欄も点の低さも起きた」のかを、このデータでは分けられません。
解く順番の効果は当サイトのデータには残らない
どの順で解いたかは答案に残りません。だから順番の良し悪しは、当サイトのどのデータでも確かめられません。
当サイトは通説の検証記事で、「設問を先に読むか与件文を先に読むか」を「触れられない」通説に分類しています。どちらで読んだかは答案に残らず、正解も公表されないため、その読み順が加点につながったかを確かめる方法がないからです。解く順番もこれと同じです。
「経営分析から確実に取る」という通説についても、言えるのは「第1問の出来は合計点の差をほとんど説明しなかった」というところまでです。落としたときにどれだけ響くかも、解く順序を変えたら何が起きるかも測っていません。
他人の順番が自分に合うかどうかも、同じ理由で誰にも判定できません。判定できるのは自分の手元だけです。時計を置いて3回解けば、自分の所要分と結果は記録として残ります。その記録の上でなら、順番と見切り線は決められます。
時計を置いて小問ごとに記録する
80分を測るだけでは足りません。小問ごとに着手と終了の時刻を書き、所要分と結果を残します。
記録するのは分数だけではありません。その小問が合っていたか、途中で見切ったかを同じ行に書きます。所要分と結果を並べて初めて、「長くかかったのに合わない小問」が見えます。
| 小問 | 着手→完了(見切り)の時刻 | 所要分 | 結果 | 見切り線を守れたか |
|---|---|---|---|---|
| 年度(解いた年度を書く) | ||||
| 第1問 設問1 | ||||
| 第1問 設問2 | ||||
| 第2問 設問1 | ||||
| 第2問 設問2 | ||||
| 第3問 設問1 | ||||
| 第3問 設問2 | ||||
| 第3問 設問3 | ||||
| 第4問 設問1 | ||||
| 第4問 設問2 |
- 1解き始める前に、問題冊子を開いて小問の数を数え、シートの行を年度に合わせる。
- 2小問に手をつけた時刻と、書き終えたか見切って次へ移った時刻を、時刻の欄に並べて書く。分単位でよい。
- 32つの時刻の差を「所要分」に入れる。
- 4採点したあとに「結果」へ、合った・合わない・見切りの3つのどれかを書く。
- 5最後に「見切り線を守れたか」を書く。1回目は見切り線がまだ無いので空欄でよい。
時刻を書くこと自体が負担になるなら、設問を移るときだけ記録してください。所要分の引き算は、解き終わったあとでかまいません。
3回分の過去問記録から事例Ⅳを解く順番を決める
3年度分を解き、小問ごとの平均所要分と結果を並べます。合う確率が高くて短い小問を前へ、長くて合わない小問を後ろへ置きます。
- 13年度分を、同じシートで解く。年度をまたいで同じ位置の小問を比べられるように並べる。
- 2小問の位置ごとに、3回の所要分の平均と、合った回数を出す。
- 3「合った回数が多く、所要分が短い」位置を前に置く。ここが自分の取り分になる。
- 4「合わない、または所要分が長い」位置を後ろに置く。ここが見切りの候補になる。
- 5決めた順番を紙に書き、次の1回で実際にその順で解く。守れたかどうかも記録する。
多くの発信者は経営分析を最初に置いています。次の6人は、いずれも第1問から入る形を述べています。
- きゃっしい(一発合格道場)https://rmc-oden.com/blog/archives/108526
- しゅうすけ(タキプロ)https://www.takipro.com/2jishikenknow-how/case4/137011/
- matsu(タキプロ)https://www.takipro.com/2jishikenknow-how/case4/97741/
- のむらけい(note)https://note.com/mypacecreator/n/n81947ac054aa
- えいりん(タキプロ)https://www.takipro.com/2jishikenknow-how/case4/128175/
- tomi(一発合格道場)https://rmc-oden.com/blog/archives/213552
ただしこれは6人の経験であって、あなたの所要分ではありません。自分の記録で経営分析が毎回長くかかっているなら、後ろに回してもかまいません。決め手は多数決ではなく、手元の3回分です。
見切り線を分数で決める
3回の記録で「手が止まった小問」の所要分を並べ、その中央値を見切り線にします。そこに達したら書き方を切り替えます。
- 13回の記録から、結果が「合わない」か「見切り」だった小問の所要分だけを抜き出す。
- 2抜き出した分数を小さい順に並べ、真ん中に来る値(中央値)を見る。これを見切り線の出発点にする。
- 3本番でその分数に達したら、答えを出しにいくのをやめ、前提と土台の数字を書いて次の小問へ移る。
- 4次の1回で実際に守り、守れたか・守って何が起きたかを記録して、線を上下させる。
平均ではなく中央値を使います。1回だけ極端に長くかかった小問があると、平均はそこに引っぱられて線が甘くなるためです。
切り替えたあとに何を書くかは、先に決めておきます。当サイトの投資判断の記事では、①前提を1行、②土台の数字、③年ごとの表、④割引、の順に書くことを勧めています。この順なら、割引まで届かなくても③までが残ります。
白紙にはしません。ただし部分点の配点は公表されていないので、「この順で書けば何点入る」とは言えません。実際の答案の割れ方から当サイトが見ている書き方であって、採点基準ではありません。
本番は、訓練で決めた手順をそのまま
事例Ⅳが4事例目であることは動かせません。動かせるのは、疲れた状態でも回せる手順を先に決めておくことだけです。
事例Ⅳは1日の4事例目に置かれます。これは時間割の事実で、当サイトは疲労や集中力のデータを持っていません。だから「当日こうすれば疲れない」とは書けません。書けるのは、当日に判断する回数を減らしておく、というところまでです。
ふぞろいのブログで、しーだは5回の受験で事例Ⅳの得点が50点・46点・36点・41点・70点と動いたことを書いています。1回目から4回目は、事例Ⅰ〜Ⅲで稼いで事例Ⅳは50点台で妥協する作戦だったそうです。合格した年に方針を変えたと振り返っています。
事例Ⅳを妥協する戦略そのものが不合格の要因だった、という振り返りです。この記事の訓練も、当日に考えることを減らすためのものです。順番も見切り線も、前の週までに決めておきます。
しーだの記事に、時間を測って解く練習への言及はありません。5回の受験で方針を変えた経験談として引用しています。出典: https://fuzoroina.com/?p=32431
当サイトで手を動かすなら
計算の速さは財務の塔で、80分の通しは事例演習で練習できます。どちらも使わなくても、この記事の訓練はできます。
計算そのものが遅いと感じるなら、論点ごとに小さく回す練習が先です。同じ型を続けて解くことは、所要時間を縮めるための練習になります。実際に縮んだかどうかは、記録シートで確かめます。
通しで解くときは、80分のタイマーと答案の記録が使えます。ただし小問ごとの時刻は記録されないので、記録シートは手元で書くことになります。
財務の塔の「1問20秒」は、演習ゲームの難易度を決めるために置いた設計値です。本試験で1問にかけてよい時間の実測ではありません。時間配分の根拠には使えません。
この記事で言えないこと
- 解く順番の効果。どの順で解いたかは答案に残らず、正解も公表されないため、当サイトのどのデータでも測れません。
- 最適な分数。本番の実測タイムを当サイトは持っていません。80分の内訳は、字数と仮定の係数から逆算した試算です。
- 部分点の配点。設問ごとの得点も採点基準も公表されていません。計算過程の書き方は当サイトの見立てです。
- 空欄と得点の因果。相関は−0.246で、説明できるのは得点の差の6%です。見切ったから点が下がった、とは言えません。
- 小問の係数は配点ではありません。合計点との相関で、得点は自己申告、標本は再現答案を公開した人に偏っています。
他サイトの見解は、当サイトが記事を読んで要約したものです。逐語の引用はしていません。本記事の集計は当サイトの独自のもので、問題そのものの著作権は試験実施機関に帰属します。2次試験(筆記)の公式解答は公表されていないため、当サイトでは模範解答の提示・採点は行いません。
この記事のまとめ
- 万人共通の理想の分数はありません。他サイトの数字は発信者ごとにばらついています。
- 当サイトにも実測のタイムはありません。80分の内訳は字数からの試算です。
- 令和6・7年度で合計点の差を最もよく説明したのは、真ん中の計算2問でした。
- 空欄が残っているのも同じ2問の後半です。順番と見切り線は、自分の実測で決めます。
よくある質問
- 経営分析は必ず最初に解くべきですか?
- 絶対の正解はありません。多くの発信者が第1問から入る形を述べていますが、解く順番の効果を測ったデータは当サイトにもありません。3年度分を時計つきで解き、自分の所要分と結果を並べたうえで決めてください。経営分析が毎回長くかかるなら、後ろに回してもかまいません。
- 計算が最後まで合わないとき、部分点狙いで式だけ書くべきですか?
- 白紙は避けるのが妥当だと考えます。ただし配点は公表されていないので、「書けば何点入る」とは言えません。当サイトの投資判断の記事では、前提を1行、土台の数字、年ごとの表、割引、の順に書くことを勧めています。割引まで届かなくても、途中の表までは残ります。
- 何分で見切るか、目安の時間はありますか?
- 万人共通の分数はありません。他サイトの数字も発信者ごとに違い、当サイトにも本番の実測タイムはありません。3回の記録で「手が止まった小問」の所要分を並べ、その中央値を出発点にしてください。実際に守ってみて、線を上下させます。
- 本番で予定の時間を超えたときはどうすればよいですか?
- 訓練で決めた見切り線に従って、前提と土台の数字だけ書いて次の小問へ移ります。挽回しようとして1つの小問に留まると、後ろの小問がまとめて空欄になります。ただし、予定を超えたあとにどう動けば点が戻るのかを測ったデータは当サイトにありません。言えるのは、当日に決め直さず、決めておいた線を守るというところまでです。
- 事例Ⅳは文字数が少ないのに、なぜ時間が足りなくなるのですか?
- 19年74問のうち54問(73%)に字数制限があるためです。解答字数は19事例の平均で227字と4事例で最も少ないのですが、計算とは別に、日本語で書く時間も要ります。計算の所要分だけで80分を組むと、書く時間が足りなくなります。

