「合格率が低い科目=過去問で解けない科目」ではなかった——公式統計19年分と解答データ1万件の答え合わせ
「合格率が低い科目は、やっぱり難しい科目だ」——受験生のあいだで自然に共有されている読みです。当サイトは1次試験の過去問を19年分+2023年再試験ぶん収録しています。この記事では、公式(日本中小企業診断士協会連合会)が公表している第1次試験の統計資料19年分と、当サイトに蓄積された初回解答10,509件を突き合わせ、「合格率が低い科目は、実際に解けていない科目なのか」を確かめました。結論から言うと、そうはなっていませんでした。
1. 何と何を比べたか(そして、比べていないもの)
公式は「人」の数え方、当サイトは「問題」の数え方です。%の大小は比べられないので、この記事は難しい順に並べたときの順位が一致するかどうかだけを見ています。
使う数字はふたつです。ひとつめは公式の科目合格率で、科目合格者数 ÷ 科目受験者数として計算しました。各年度の統計資料PDFにある「6.科目受験者数・科目合格者数」の表から取っています。2007〜2025年度の19年分、19本のPDFすべてを取得しました。
ふたつめは当サイトの実測正答率で、正解した解答数 ÷ 初回解答数です。同じ人が同じ問題を解いた場合は1回目だけを採用し、模試モードと「わからない」ボタンでの回答、当サイト独自の予想問題、2023年の再試験は除外しています。全7科目で10,509件、全体の正答率は55.9%でした。
ここでいちばん大事な注意を先に書きます。このふたつは「%」の大小を直接比べてはいけません。公式の合格率は「人」の数え方です(その年の受験者のうち、何人がその科目で60点以上だったか)。当サイトの実測は「問題」の数え方です(1問ごとに正解か不正解か)。単位が違うので、「公式は14.1%なのにサイトでは60.4%だから、サイトの問題は簡単すぎる」といった読み方は意味を持ちません。そこでこの記事では、難しい順に並べたときの順位が一致するかどうかだけを見ています。
公式の「科目合格者数」には、その年の試験全体に合格した人は含まれません(統計資料PDFの注記のとおり)。この点が結論を左右しないかは最終セクションで検証しています。
2. 公式の合格率は「科目の難しさ」をあまり測っていない
公式の科目別合格率のばらつきは、92.9% が「科目×年」の組み合わせから来ていました。「この科目はいつも難しい」で説明できるのは 6.2% だけです。
順位の話に入る前に、公式の合格率そのものの性質を見ておきます。19年×7科目=133個の数字を、「科目の主効果(どの科目が恒常的に難しいか)」「年の主効果(その年が全体的に易しかったか)」「科目×年の組み合わせ(その年その科目だけ動いた分)」の3つに分解しました。
「この科目はいつも難しい」という成分は 6.2% しかなく、しかもその 6.2% は、各年の中で科目のラベルをシャッフルして作った比較(並べ替え検定10,000回)でも p=0.30 でした。偶然と区別がつきません。数字の幅でも同じことが言えます。19年をまとめてしまえば科目間の合格率の幅は 6.2ポイントしかないのに、同じ年の中で見た科目間の幅は中央値で 23.5ポイント(最小16.3・最大49.7ポイント)ありました。
つまり公式の科目合格率が主に測っているのは、「その年、その科目に何が起きたか」だと考えられます。ここで「何が」と曖昧に書いているのには理由があります。合格率が動く原因には少なくとも2つあり、このデータでは分けられないからです。ひとつはその年のその科目の出題そのものが易しかった/難しかったこと、もうひとつはその科目を誰が受けたか(科目合格による免除があるため、受験者の顔ぶれが年ごとに変わる)です。
たとえば2024年度は企業経営理論の科目合格率が39.9%と跳ね上がりましたが、翌2025年度の同科目の受験者は16,773人から14,409人に減っています。前年に科目合格した人が受けなくなった影響が一因と考えられますが、本分析でそれを確認したわけではありません。難易度と受験者構成が混ざったまま動く指標である、という前提で読む必要があります。
この92.9%が「たまたまのばらつき」である可能性は小さいと考えられます。各科目の受験者数は毎年1万人規模なので、統計的なサンプリング誤差は全体のばらつきの0.13%にしかなりません。
3. 公式の順位とサイト実測の順位は、揃わなかった
順位相関は ρ=−0.250。とくに財務・会計は公式では19年プール最下位なのに、当サイトの実測では7科目中2位でした。
19年をすべてプールした公式の合格率と、当サイトの実測正答率を、それぞれ「合格しやすい/解けている順」に並べたのが下の表です。くり返しになりますが、%の水準は比べていません。並びだけを見ています。
| 科目 | 公式 合格率(19年プール) | 公式順位 | サイト実測正答率 | 実測順位 | 順位差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経営情報システム | 20.4% | 1 | 53.8% | 5 | +4 |
| 経済学・経済政策 | 18.4% | 2 | 49.9% | 6 | +4 |
| 企業経営理論 | 18.1% | 3 | 63.2% | 1 | −2 |
| 運営管理 | 17.5% | 4 | 56.9% | 3 | −1 |
| 中小企業経営・政策 | 15.4% | 5 | 46.2% | 7 | +2 |
| 経営法務 | 15.1% | 6 | 55.5% | 4 | −2 |
| 財務・会計 | 14.1% | 7 | 60.4% | 2 | −5 |
順位相関(Spearman ρ)は −0.250 でした。むしろ逆向きですが、7科目しかないため統計的には何も言えません(正確順列検定 p=0.595、ブートストラップ95%区間 −0.750〜0.571)。「一致しない」ことは示せても、「逆向きだ」と言うにはデータが足りない、という状態です。
いちばん目を引くのは財務・会計です。公式では19年プールで7科目中もっとも合格率が低い(14.1%)のに、当サイトの実測では 60.4%(95%信頼区間 58.0〜62.7%・n=1,651)で7科目中2位でした。逆方向もあります。経営情報システムは公式では1位(20.4%)ですが、実測は 53.8%(50.9〜56.6%・n=1,169)で5位。経済学・経済政策も公式2位に対し、実測は 49.9%(46.8〜53.0%・n=980)で6位です。
実測正答率の科目差そのものは誤差では説明できません(7×2のカイ二乗=105.76、自由度6、p≒1.6×10のマイナス20乗)。ただし隣り合う科目どうしの差は、6ペアすべてで統計的に確定していません。いちばん差が大きい財務・会計 vs 運営管理でも、6回の比較をしていることを踏まえた補正(Holm法)をかけると有意になりませんでした。「2位と3位のどちらが上か」は、このデータでは決められません。
4. そもそも、公式の順位自体が確定していない
19年ぶんのデータをもってしても、公式の順位は確定しません。同じ順位に落ち着いた割合は、いちばん安定した科目でも58%、いちばん不安定な科目では20%でした。
ここは今回いちばん強調したいところです。前のセクションの表の「公式順位」を、確定した事実として読まないでください。19年ぶんの年を復元抽出してプール合格率を作り直す、という操作を20,000回くり返し、順位がどれくらい動くかを調べました。
| 科目 | 19年プール合格率 | 報告した順位 | その順位に落ち着いた割合 | 順位の95%区間 |
|---|---|---|---|---|
| 経営情報システム | 20.4% | 1位 | 58% | 1〜5位 |
| 経済学・経済政策 | 18.4% | 2位 | 29% | 1〜6位 |
| 企業経営理論 | 18.1% | 3位 | 20% | 1〜6位 |
| 運営管理 | 17.5% | 4位 | 25% | 1〜6位 |
| 中小企業経営・政策 | 15.4% | 5位 | 22% | 2〜7位 |
| 経営法務 | 15.1% | 6位 | 36% | 2〜7位 |
| 財務・会計 | 14.1% | 7位 | 51% | 3〜7位 |
いちばん安定している経営情報システムの1位でも、再現率は58%。企業経営理論の3位にいたっては20%で、95%区間は1位から6位まで広がります。「この科目は公式で〇位だから難しい/易しい」という言い方は、19年ぶんのデータをもってしても成り立ちません。前のセクションで「財務・会計は公式最下位」と書きましたが、その最下位という位置ですら、再現率は51%です。
集計する期間を変えると順位はさらに動きます。直近10年(2016〜2025)では ρ=+0.286(p=0.556)、直近5年(2021〜2025)では ρ=+0.536(p=0.236)と符号が変わります。ただしこれは3通りの期間で3回計算した結果のうちのひとつを取り出しているだけで(多重比較)、いずれも有意ではありません。
直近5年の順位は、ごく小さな差の上に乗っています。財務・会計が 14.5486%、経済学・経済政策が 14.5313% で、その差は 0.017ポイント。小数第1位まで書けばどちらも「14.5%」で差が見えません。この2つを入れ替えるだけで ρ は 0.536 から 0.393 に下がります。「直近5年では一致してきた」とは、このデータからは書けないと考えています。
5. なぜ揃わないのか——仮説と、この比較の限界
ここから先は検証していない仮説です。あわせて、この順位比較には「科目ごとに解かれている年度が違う」という構造的な制約があります。
順位が揃わない理由として考えられる説明を並べておきます。いずれも当サイトのデータでは確かめられていません。断定はできない、という前提でお読みください。
- 財務・会計(公式7位/実測2位): 計算問題が中心で、解法パターンが過去問演習で身につきやすい科目です。一方、本番は時間制限と初見の数値設定が効きます。「演習では解けるが本番では取り切れない」という説明は成り立ちますが、当サイトは本番の解答データを持たないので確かめられません。
- 経済学・経済政策(公式2位/実測6位): グラフの読み取りが多く、当サイトでは図が画像で提供される問題が多い科目です。画面上での図の見づらさが実測を押し下げている可能性(=サイト側の要因)を排除できません。
- 経営情報システム(公式1位/実測5位): 年による出題範囲の振れが7科目で最大です(次のセクション)。過去に出た用語が翌年に効くとは限らない、という説明は可能です。
- 中小企業経営・政策(公式5位/実測7位): 中小企業白書の年度依存が強く、古い年度の過去問が現在の知識として通用しにくい科目です。公式・実測の両方で下位という点では整合的でした。
そしてもうひとつ、比較そのものに構造的な制約があります。当サイトの実測正答率は、科目ごとに「どの年度の問題を解いた結果か」の中身がかなり違います。別の分析(実測難易度マップ)で科目×年度の解答数を見ると、財務・会計、運営管理、経営法務は2007年度から全年度でまとまった解答数がある一方、経済学・経済政策と企業経営理論は2020年度以降、経営情報システムと中小企業経営・政策は2021年度以降にしか十分な解答数がありません。
つまり「公式=19年を等しくならした順位」と比べている実測順位は、科目によって年度の重みがまるで違います。同じ科目でも年度によって実測正答率は34.7%〜79.7%の幅で動くので、これは順位比較の土台を揺さぶる要因です。今回の集計には年別の実測が入っておらず、年度をそろえた比較はできていません。このセクションの限界つきで読んでください。
6. 前年からは読めない。ただし毎年、どこかの科目が10%を割る
「去年やさしかった科目は今年もやさしい」は確認できませんでした(相関 r=−0.006)。一方で、19年のうち18年は、どこか1科目の合格率が10%を割っています。
受験生のあいだでよく語られる読みを、公式データで確かめます。科目ごとに水準の差を消してから(科目内で標準化)、前年と翌年の合格率の関係を見ました。126組のペアで、相関は r=−0.006(並べ替え検定 p=0.955)。ほぼゼロです。
ただしここは書き方に気をつけます。「予測力がない」と証明できたわけではありません。この相関の95%区間は −0.181〜+0.169 で、翌年の変動の最大3.3%程度までなら説明できる持続性が、このデータでは否定できません。正確には「持続性は検出できなかった。あったとしても、翌年のばらつきの数%を説明する程度」です。
中小企業経営・政策だけは負の相関(合格率が高かった年の翌年は下がりやすい)で、7科目ぶんの多重比較を補正しても有意でした(r=−0.601・95%区間 −0.834〜−0.187)。ただし18組のペアしかないこと、7回の検定のうちの1つであること、補正後の閾値ぎりぎりであることを踏まえると、強い証拠とは言えません。2025年度の同科目は30.7%と19年で2番目に高い値でしたが、この記事はそれを予測として使いません。学習量の配分を変える根拠にするには弱すぎると考えています。
前年から読めないのなら、備えるべきは何でしょうか。19年ぶんの数字がはっきり示していることが1つあります。
| 科目 | 中央値 | 最小(年度) | 最大(年度) | 幅 | 最大÷最小 | 10%を割った年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 経営情報システム | 18.5% | 3.8%(2009) | 51.8%(2013) | 48.0pt | 13.5倍 | 3/19年 |
| 経済学・経済政策 | 19.4% | 2.1%(2013) | 38.9%(2009) | 36.8pt | 18.3倍 | 3/19年 |
| 財務・会計 | 13.3% | 3.8%(2012) | 36.9%(2015) | 33.1pt | 9.8倍 | 6/19年 |
| 企業経営理論 | 17.0% | 6.8%(2013) | 39.9%(2024) | 33.1pt | 5.9倍 | 3/19年 |
| 中小企業経営・政策 | 12.5% | 2.9%(2009) | 31.1%(2014) | 28.3pt | 10.8倍 | 6/19年 |
| 運営管理 | 17.8% | 3.1%(2017) | 29.9%(2009) | 26.7pt | 9.6倍 | 3/19年 |
| 経営法務 | 12.8% | 5.1%(2018) | 26.9%(2022) | 21.7pt | 5.2倍 | 3/19年 |
「今年はこの科目が荒れる」を当てにいくのではなく、「どの科目が荒れても足切りにならない」状態を作るほうが、19年のデータとは整合的だと考えられます。
7. 2026年度はどのあたりに来るか、直前5日で持ち帰ること
点推定はしません。過去19年の実績が散らばっていた範囲をそのまま示します。名目80%の範囲でも、実際に当たったのは71.4%でした。
前年から予測できない以上、「今年の経済学・経済政策は◯%」という点推定は出しません。代わりに、過去19年の実績がどこに散らばっていたかをそのまま範囲として示します。
| 科目 | 下位10% | 中央値 | 上位10% | 19年の最小〜最大 | 2025年度実績 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経済学・経済政策 | 8.1% | 19.4% | 28.5% | 2.1%〜38.9% | 14.5% |
| 財務・会計 | 5.7% | 13.3% | 23.0% | 3.8%〜36.9% | 8.4% |
| 企業経営理論 | 8.6% | 17.0% | 30.6% | 6.8%〜39.9% | 17.3% |
| 運営管理 | 9.2% | 17.8% | 26.0% | 3.1%〜29.9% | 14.4% |
| 経営法務 | 7.9% | 12.8% | 23.8% | 5.1%〜26.9% | 18.3% |
| 経営情報システム | 8.1% | 18.5% | 35.5% | 3.8%〜51.8% | 14.2% |
| 中小企業経営・政策 | 5.5% | 12.5% | 28.1% | 2.9%〜31.1% | 30.7% |
この「下位10%〜上位10%」は、見た目ほど広くありません。名目上は80%の範囲ですが、実際にどれくらい当たるのかを1年抜きの検証(ある1年を隠して残り18年から範囲を作り、隠した年が入るかを見る。7科目×19年=133件)で測ると、的中率は 71.4%(95%信頼区間 63.2〜78.4%)でした。19年しかデータがないぶん、範囲が狭めに出ています。
より安全側に読むなら「19年の最小〜最大」のほうです。同じ1年抜き検証での的中率は 89.5%(83.1〜93.6%)。それでも10回に1回は外れます。実際、2013年度の経営情報システムの51.8%は、それ以前の6年間で一度も届いたことのない水準でした(2007〜2012年度の最大は2011年度の36.1%)。過去の範囲は、破られるときには派手に破られます。
率直に書くと、科目合格率の予測は「この幅のどこかに来ることが多い」程度のことしか言えません。そしてこの範囲は「毎年の出題も受験者の顔ぶれも、過去19年と同じような性質で振れ続ける」という仮定に乗っています。制度が変われば、この前提ごと崩れます。外れる可能性は十分にあるものとして読んでください。
直前5日で、この記事から持ち帰ること
- 1難易度予想に賭けない。公式の順位は19年ぶんのデータでも確定しませんでした(順位の再現率20〜58%)。「今年は情報が易しいはず」といった読みに合わせて学習量を配分するのは、根拠の薄い賭けになります。
- 2「40点未満をつくらない」を全科目で守る。19年のうち18年で、どこか1科目は合格率が10%を割っています。どの科目が今年荒れるかは前年からは読めません。総点60%で合格する試験なので、荒れた科目で沈まないことが最優先です。
- 3合格率が低い科目=過去問が通用しない科目、ではない。財務・会計は公式の合格率では19年プール最下位ですが、当サイトの実測では2位(60.4%・58.0〜62.7%・n=1,651)でした。1位や3位との差までは統計的に確定していませんが、少なくとも「実測で下位に沈む科目ではない」とは言えます。
- 4残り時間は「実測で解けていない頻出分野」に寄せる。科目単位の得意・不得意より、分野単位の実測正答率のほうが行動に直結します(記事末尾の関連記事を参照)。
試験後に、答え合わせをします
この記事に書いた予測らしきものは、上の範囲だけです。それも「当てる」ためではなく、「どれくらい当てられないか」を示すために出しています。2026年度の統計資料が公表され次第、この範囲に実績が入ったかどうかを検証し、結果を公開します。7科目のうち何科目が範囲に収まったか、19年の最小〜最大を超えた科目はあったか、そして「どこか1科目が10%を割る」が今年も起きたか——外れていた場合も含めて、そのまま出します。
数字の作り方(厳密に知りたい方向け)
- 公式データは、日本中小企業診断士協会連合会(経済産業大臣指定試験機関)の過去試験結果ページからリンクされている第1次試験の統計資料PDF19本(2007〜2025年度)です。各PDFのURLとSHA-256を記録しています。
- PDFの表は、テキストの読み取り順ではなく座標で読んでいます。読み順のままだと運営管理(ラベルが2行になる)の数値だけが表の末尾に飛び、他科目と入れ替わる事故が起きるためです。あわせて全行で「科目合格者数 ≦ 科目受験者数」を検査しています。
- 抽出の検証として、独立した第三者の公開情報にある科目別合格率(10年×7科目=70セル)と突き合わせ、66セルが小数第1位まで一致しました。残る4セル(2018年度の運営管理と経営法務、2019年度の経営法務、2021年度の企業経営理論)は0.1ポイント差で、いずれも公式PDFの原数値からは25.8482%・5.1465%・10.1493%・34.7490% と計算されるため、第三者側が二段階に丸めた結果と考えられます。
- 比率にはすべて Wilson の95%信頼区間を使っています(正規近似は使っていません)。順位相関の有意性は、7科目の全順列5,040通りを数え上げた正確検定です。7科目という少なさでは、|ρ|が0.786以上でなければ5%水準で有意になりません。「有意でない」は「関係がない」の証明ではありません。
- 多重比較をしている箇所は3つあります。集計期間3通りの順位相関、実測の隣接6ペアのz検定、科目別7つの前年→翌年相関。後者2つには Holm 補正をかけ、補正後に有意だったのは中小企業経営・政策のみです。順位の不確実性は年ブロック・ブートストラップ(20,000回)、実測側は二項再標本で評価し、予測範囲の当たり具合は1年抜き検証(133件)で測りました。
- 当サイトには同じテーマを第三者の公開情報にもとづく20年分で扱った既存記事(科目別の難易度は予測できるのか)があります。本記事は出典を公式の統計資料PDFに差し替えたもので、上記4セルぶん数値が異なります。
この記事の限界です。(1) 指標の定義が違います。公式の科目合格率は人単位(その年の受験者のうち何人が60点以上か・試験合格者は分子に含まれない)、当サイトの実測正答率は問題単位(学習途中の利用者の初回解答・年度混在)。水準の直接比較はできず、順位の一致だけを見ています。これが最も重い制約です。(2) 当サイトの実測は本番の正答率ではありません。解いている人も条件(時間制限なし・解説閲覧可)も本番とは違います。(3) 科目ごとに実測が「どの年度の問題か」の構成が大きく違い、年度をそろえた比較は今回できていません。(4) 公式の合格率には、難易度と受験者構成が分離不能なまま混ざっています。(5) 公式の「科目合格者数」に試験合格者が含まれない点は、試験合格者が全員その科目で60点以上だったと仮定した上限版でも計算しましたが、順位相関は ρ=−0.321(p=0.498)で結論は変わりませんでした。(6) 2023年度は本試験のみを使っています(那覇地区が台風で中止となり公式集計から除外されている旨がPDFに注記されています)。
