令和8年度に「出る論点」は予測できるのか——19年分の出題データで確率を作り、その外れ方まで測ってみた
「今年はどの論点が出るのか」——直前期に誰もが考えることです。当サイトは中小企業診断士1次試験の過去問を19年分+2023年再試験ぶん収録しています。この記事では本試験のみ4,296問を科目×分野×年度で数え直し、令和8年度(2026年)に各分野が出題される確率を推定しました。あわせて「その予測は過去11年ぶん、実際に当たってきたのか」も検証しています。当たった話だけでなく、外れ方まで含めて全部お見せするのが、この記事の主眼です。
何を数え、何を検証したか
本試験4,296問を175分野に分けて数え直し、そこから作った予測が過去11年ぶん当たってきたかまで測りました。
対象は当サイト収録の本試験2007〜2025年度・全4,296問です。2023年度の再試験と、当サイト独自の予想問題は集計から除きました。各問題には当サイト独自の分野タグが付いており、タグの付与率は100%、科目×年度の総問題数と分野別集計の合計は全133セルで一致しています(不一致0セル)。
そのうえで「直近8年(2018〜2025年度)のうち何年で出題されたか」を分野ごとに数え、そこから2026年に出る確率を推定しました。サイトの分野別演習で表示している「毎年出る/ほぼ毎年出る/…」の5つの帯と同じ区切りです。
確率の作り方だけ、ひとこと補足します。「8年中5年出た=62.5%」「4年出た=50%」と単純に割り算すると、隣り合う数字に意味があるように見えてしまいます。ですが8年しかデータがない以上、この差はコイン投げのばらつきに埋もれます(5/8の95%区間は29.5〜88.1%、4/8は19.9〜80.1%で、ほとんど重なります)。そこでベイズ推定を使い、点の数字と一緒に必ず幅を出しています。
分野タグは当サイト独自の自動分類で、協会が公表する公式の区分ではありません。分野の切り方を変えれば、確率も帯も変わります。
「毎年出る」論点は翌年88.1%、「ほとんど出ない」分野でも57.9%
上から下へきれいに的中率が下がる一方、いちばん下の帯でも6割近く出ています。このデータの範囲では、捨てて安全な分野はほぼ見当たりません。
まず「この予測は当たってきたのか」から確かめます。方法は、2015〜2025年度をそれぞれ1年ずつ伏せ、その年より前の8年だけで帯を決め、伏せた年に実際に出たかを見るというものです(未来のデータを混ぜないバックテスト)。評価点は1,915件になりました。
| 帯(前8年で判定) | 評価件数 | 翌年に出題 | 実測的中率 | Wilson 95%CI | 予測していた確率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 毎年出る(8/8) | 310 | 273 | 88.1% | 84.0〜91.2% | 94.4% |
| ほぼ毎年出る(7/8) | 386 | 303 | 78.5% | 74.1〜82.3% | 83.3% |
| 半分以上の年で出る(5〜6/8) | 776 | 547 | 70.5% | 67.2〜73.6% | 61.1〜72.2% |
| 出ない年のほうが多い(3〜4/8) | 367 | 212 | 57.8% | 52.7〜62.7% | 38.9〜50.0% |
| ほとんど出ない(1〜2/8) | 76 | 44 | 57.9% | 46.7〜68.4% | 16.7〜27.8% |
| 全体 | 1,915 | 1,379 | 72.0% | 70.0〜74.0% | 69.3%(平均) |
読み方は2つあります。ひとつめ。順番としては、確かに効いています。上から下へきれいに的中率が下がっており、「よく出ている分野ほど翌年も出やすい」という関係自体はデータに出ています。
ふたつめ。ただし「8年連続だから94%」は言い過ぎでした。実測は88.1%です。10分野に1分野以上は「8年連続で出ていたのに翌年は出ない」ということになります。同じ分野が11年ぶん繰り返し評価に入るため上のWilson区間はやや狭く見えますが、分野単位で取り直した区間(クラスタブートストラップ・2000反復)でも83.7〜91.5%で、いずれにせよ94.4%はこの範囲の外側でした。
分野の重複がない「2025年度だけ」で見ても、毎年出る帯は34分野中31分野が的中で91.2%(77.0〜97.0%・n=34)。件数が少ないぶん幅は広くなりますが、額面より低めという傾向は変わりませんでした。
もっと意外だったのは下の帯です。8年で1〜2回しか出ていない分野でも、翌年に出た割合は57.9%(46.7〜68.4%・n=76)ありました。単純計算では16.7〜27.8%と読める帯です。理由ははっきりしていて、1年に227問も出題されるからです。175分野に227問を配れば、平均すれば1分野あたり1.3問。「今年は出ない」ほうが珍しい構造になっています。
このデータの範囲では、「この分野は捨てる」という判断が安全に成り立つ分野は、ほぼ見当たりません。とはいえ直前期に手を広げすぎるのも危険なので、「捨てる」ではなく「後回しにする・薄く1周だけしておく」と考えるのが実態に近いと思われます。
上の1,915件は「直前8年で1回以上出題があった分野」に限った件数です。窓内で1度も出ていない分野10件を含めると1,925件・全体72.0%→71.7%とほぼ変わりませんが、その10件の実測は2/10=20.0%(5.7〜51.0%)でした。2026年予測で「窓内0年」の3分野に付く5.6%という数字は、この実測20%や後述の縮約版26.7%より低く出ています。5.6%は低く見積もりすぎている可能性があります。
順番は当てになるが、確率の数字は当てにならない
ここが今回いちばん大事な結果です。順序をつける力はあるのに、確率の水準としては「全部いっしょくたに72%」と答える素朴な予測より良いとは言い切れませんでした。
「実際に出た分野」に高い確率を付けられているかを測るAUCは0.644で、0.5をはっきり超えています。ところが確率の水準を測るBrierスコアで比べると、この予測は0.1991、「全部いっしょくたに72.0%と答える」だけの素朴な予測は0.2016。改善率(Brier skill score)はわずか1.2%で、しかも95%区間は0をまたぎます。つまりこのデータの範囲では、素朴予測より良いとは言い切れません。
原因は「確率が外に振れすぎている」ことです。予測した確率の区間ごとに実測を並べると、低い側で大きく外していることが分かります。
| 予測確率の区間 | 件数 | 予測の平均 | 実測の出題率 | Wilson 95%CI | ずれ |
|---|---|---|---|---|---|
| 0〜30% | 76 | 26.0% | 57.9% | 46.7〜68.4% | +31.9pt |
| 30〜50% | 132 | 38.9% | 53.8% | 45.3〜62.1% | +14.9pt |
| 50〜70% | 558 | 56.4% | 63.1% | 59.0〜67.0% | +6.7pt |
| 70〜85% | 839 | 77.3% | 76.2% | 73.2〜78.9% | −1.2pt |
| 85〜95% | 310 | 94.4% | 88.1% | 84.0〜91.2% | −6.4pt |
そこで、各分野を独立に見るのをやめ、「どの分野も年によっては出る」という全体の性質のほうへ数字を引き戻す方法(経験ベイズ)で作り直すと、ズレは件数の多い3区間で±1.3pt以内に収まり、改善率は5.0%(95%区間 +2.4〜+7.4%)に上がりました。こちらは0を含みません。
引き戻しの度合いは、バックテストの11年ぶんの推定で「8年の実績を38.6〜64.9%ぶん全体平均のほうへ寄せる」という範囲でした。2026年予測に実際に効いている重みは37.5%(推定した事前分布 Beta(3.42, 1.38)=平均71.3%)で、この範囲よりやや小さめです。いずれも推定値で幅があり、「これが正しい割引率」と言い切れるものではありません。
サイトの帯表示は前者(単純なベイズ推定)に合わせてあるため、今回は表示を変えていません。ただし後者の確率も検証用データに併記してあり、本試験後にどちらが当たったかを比べられるようにしてあります。
令和8年度の予測:どこまで押さえると、何問ぶんか
「毎年出る」36分野で年間227問の32.3%、「ほぼ毎年出る」まで含めて55.0%、「半分以上の年で出る」まで広げて88.2%。ただしこの数字は高めに出る癖があります。
以上を踏まえたうえで、2026年の予測です。確率の数字そのものは当てにしすぎないでください、というのが前節の結論なので、ここは「学習の順番を決める材料」として読んでください。
この数字には、あらかじめ差し引いて読んでほしい点が3つあります。
- 合計が100%を少し超えます。期待出題数の総和は229.1問で、実際の年間出題数227問より2.1問ぶん多く出ます(比1.009)。分母を229.1にすると 32.1% / 54.5% / 87.4% になります。上のグラフは227問基準です。
- 予測シェアは、実測より高めに出る傾向があります。バックテストで比べると「毎年出る」帯の予測シェアは実現シェアより1.5pt高め、「毎年出る+ほぼ毎年出る」の累積では3.5pt高めでした。同じズレが起きるなら、32.3%は実際には31%前後、55.0%は51%前後に着地する可能性があります。
- 今年の「毎年出る」36分野は、歴史的に見て多いほうです。過去11年ぶんの窓で数えた「毎年出る」分野数は22〜38の間で動いています(2015年窓23、2018年窓22、2024年窓38)。2026年の36はその上端近くで、分野数が多い年ほどカバー率も高く出るため、32.3%はたまたま条件の良い年の数字である可能性を含みます。
「毎年出る」36分野(科目別)
| 科目 | 分野数 | 期待出題数 | 分野(期待出題数の降順) |
|---|---|---|---|
| 経済学・経済政策 | 5 | 9.4 | 需要・供給曲線の基礎と均衡分析(2.1) / 費用関数・費用曲線(1.9) / マンデル・フレミングモデル・国際経済(1.9) / 労働市場(1.8) / GDP概念・計測・統計(1.6) |
| 財務・会計 | 5 | 10.0 | 簿記・仕訳・帳簿組織(2.9) / キャッシュフロー計算書(2.2) / ポートフォリオ理論・分散投資・効率的フロンティア(1.9) / 投資評価・資本予算(1.5) / デリバティブ(1.5) |
| 企業経営理論 | 5 | 11.5 | マーケティング概念・戦略・リサーチ(3.2) / 組織文化・変革・学習(2.5) / 労働契約・解雇・就業規則・賃金(2.1) / リーダーシップ論・組織行動(1.9) / 多角化・M&A・戦略的提携(1.7) |
| 運営管理 | 12 | 24.1 | 物流センター・倉庫管理(2.3) / 輸送・配送管理(2.3) / 在庫管理・発注方式(2.3) / 店舗施設・レイアウト(2.3) / 商圏・SC・商業統計(2.2) / 設備管理・信頼性工学・保全活動(2.1) / 生産計画・在庫管理(2.1) / 商業立地・まちづくり法制(1.8) / 商品予算・収益管理指標(1.8) / 生産性改善・工程管理・現場手法(1.7) / ライン編成・スケジューリング・最適化計算(1.7) / POSデータ分析・マーチャンダイジング(1.5) |
| 経営法務 | 3 | 6.4 | 株式の発行・種類・株主権(3.0) / 特許・実用新案の基本・制度・要件(1.7) / 商標法(登録・出願・権利)(1.7) |
| 経営情報システム | 2 | 4.1 | インターネットサービス・クラウド・応用(2.5) / 暗号化・認証・攻撃対策(1.6) |
| 中小企業経営・政策 | 4 | 7.9 | 業種別規模・労働生産性・雇用(3.1) / 中小企業の収益性・財務指標(1.8) / 中小企業基本法の理念・基本方針・改正沿革(1.5) / 共済制度(小規模・退職金・セーフティ)(1.5) |
| 合計 | 36 | 73.4 | — |
運営管理に12分野が集まり、経営情報システムは2分野しかありません。ただしこれは「運営管理のほうが安定している」だけでなく、分野の切り方(運営30分野・情報20分野)の影響も受けていることにご注意ください。分野を細かく割れば「毎年出る」に入りやすくなる、という性質があります。
「量は当たる」「増えている論点がある」は、どちらも言い過ぎだった
期待出題数の総和が合うのは、分野を一切見なくても合うからです。「近年増えている論点」も、保守的な補正を採る限り1つも主張できませんでした。
期待出題数の合計は、実際の出題数とよく一致します(バックテスト11年すべてで比 0.994〜1.026)。これを「量の予測は当たっている」と言いたくなりますが、それは言い過ぎでした。年間の総問題数は222〜228問でほぼ一定なので、分野を一切見ない素朴な予測でも総和はほぼ自動的に合ってしまいます。
| 期待出題数の作り方 | 総和の比(11年) | 分野ごとの誤差 MAE | RMSE |
|---|---|---|---|
| 今回のモデル | 0.994〜1.026 | 0.888 | 1.134 |
| 直近8年の単純平均 | 0.981〜1.014 | 0.892 | 1.142 |
| 科目内で均等割り(分野を全く見ない) | 0.977〜1.017 | 0.928 | 1.172 |
総和はどれも合います。肝心の「どの分野に何問」は、分野を全く見ない均等割りに対して誤差が4.3%小さいだけ、直近8年の単純平均に対してはほぼ差がありませんでした。期待出題数は「分野の相対的な優先順位を付ける物差し」としては使えますが、「この分野は今年2.3問出ます」という読み方に耐える精度ではありません。
もうひとつ、直前期に気になるのが「最近の流行りテーマ」です。175分野すべてについて、19年間で出題シェアが増えているか減っているかを検定しました(Cochran-Armitage傾向検定)。175回も検定するので、多重比較の補正(Benjamini-Hochberg法)をかけています。結果はFDR q<0.05 を満たす分野が0 / 175、より厳しいBonferroni基準でも0でした。いちばん強く動いていた「DX・AI・先端IT」(経営情報システム)でも、2007〜2015年の出題シェア0.0%が2017〜2025年に9.4%へと大きく上がっているにもかかわらず、補正後 q=0.132 で残りませんでした。
ただし、この「0/175」は手法の選択に依存します。年ごとのばらつきが二項分布より大きいため、今回は保守的な過分散補正(φ)をかけたzを主結果にしました。この補正を外して生のzで同じ多重比較補正をかけると、5 / 175 分野が q<0.05 を満たします。またφは175分野中101分野で1未満だったため、1に丸めています(保守側に倒しています)。つまり正確には「保守的な補正を採る限り、統計的に増加を主張できる分野は1つもなかった」であり、「変化がない」という意味ではありません。19年×175分野という規模では、この程度のシフトを検出する力が足りない、というのが実情に近いと考えられます。
DX・AIのようなテーマを直前に押さえておくこと自体は合理的だと思いますが、その根拠はこの統計ではなく、実務的な判断だとご理解ください。
「出る確率が高い」は「取れる」ではない——直前5日の使い方
出題確率の高い分野が、得点しやすいとは限りません。よく出るのに取れていない分野が、直前期にいちばん回収効率が高いところです。
当サイトの利用者の初回解答から実測正答率を見ると、それがはっきりします。期待出題数の上位から、解答数100件以上の分野だけを抜き出しました。
| 分野(科目) | 期待出題数 | 実測正答率 | Wilson 95%CI | 解答数 |
|---|---|---|---|---|
| 業種別規模・労働生産性・雇用(中小) | 3.13 | 32.1% | 24.0〜41.5% | 106 |
| 債権総論・保証・時効・解除・契約(法務) | 2.68 | 42.2% | 34.5〜50.3% | 147 |
| 費用関数・費用曲線(経済) | 1.95 | 50.0% | 41.7〜58.3% | 136 |
| インターネットサービス・クラウド・応用(情報) | 2.54 | 52.0% | 43.3〜60.5% | 127 |
| 生産計画・在庫管理(運営) | 2.07 | 52.5% | 43.7〜61.1% | 122 |
| ネットワーク基礎・プロトコル・LAN構成(情報) | 1.96 | 52.8% | 43.4〜61.9% | 108 |
| ポートフォリオ理論・分散投資・効率的フロンティア(財務) | 1.95 | 53.7% | 45.3〜62.0% | 134 |
| 会計規則・会計基準(財務) | 2.23 | 54.1% | 45.7〜62.3% | 135 |
| 契約法(各種契約・消費者保護・国際取引)(法務) | 1.89 | 54.2% | 46.0〜62.2% | 142 |
| 設備管理・信頼性工学・保全活動(運営) | 2.07 | 55.6% | 46.2〜64.6% | 108 |
| 簿記・仕訳・帳簿組織(財務) | 2.89 | 56.7% | 49.2〜63.9% | 171 |
| 商圏・SC・商業統計(運営) | 2.18 | 58.0% | 48.8〜66.8% | 112 |
| 株式の発行・種類・株主権(法務) | 3.01 | 58.5% | 52.8〜64.1% | 287 |
| マーケティング概念・戦略・リサーチ(経営理論) | 3.25 | 59.5% | 50.4〜68.0% | 116 |
| 物流センター・倉庫管理(運営) | 2.30 | 62.8% | 54.8〜70.2% | 148 |
| キャッシュフロー計算書(財務) | 2.18 | 64.3% | 56.6〜71.4% | 157 |
| 輸送・配送管理(運営) | 2.30 | 67.5% | 58.8〜75.1% | 123 |
| 店舗施設・レイアウト(運営) | 2.30 | 68.5% | 59.3〜76.4% | 111 |
| 組織文化・変革・学習(経営理論) | 2.54 | 68.6% | 59.1〜76.8% | 102 |
| 在庫管理・発注方式(運営) | 2.30 | 70.7% | 61.8〜78.2% | 116 |
いちばん多く出る見込みの分野のひとつ「業種別規模・労働生産性・雇用」(中小企業経営・政策)が、実測32.1%と最も取れていません。出題数の期待値が大きく、かつ取れていない分野が、直前期にいちばん回収効率が高いと考えられます。この表では上のほうがそれにあたります。
表示基準について。実測正答率は解答数100件以上の分野だけを載せています(既存の分野別分析と同じ基準)。期待出題数の上位30分野のうち9分野は解答数30〜99件、1分野(創業支援・起業動向、n=24)は30件未満だったため、この表には含めていません。信頼区間の幅を見ていただくと分かるとおり、n=100前後でも上下に±9pt程度の幅があります。分野どうしの細かい順位差を真に受けないでください。
実測正答率は学習途中の利用者の初回解答であり、本番受験者の正答率ではありません。加えて、閲覧できる年度が会員区分によって異なる(未ログインは直近3年・無料会員は5年・有料会員は全年度)ため、分野によって解いている人の集団が違います。出題確率と期待出題数は問題データだけから計算しているのでこの影響を受けませんが、この表の実測正答率の列だけは影響を受けます。
残り5日、このデータをどう使うか
- 1「毎年出る」36分野は、白紙のまま本番に行かない。期待出題数の合計は73.4問で、年間227問の32%前後にあたります(ただし前述のとおり実際は31%前後に落ちる可能性があります)。全部を深追いする時間はないので、過去問を1〜2問ずつ触って「見たことがある」状態にするのが現実的です。
- 2「よく出る × まだ取れていない」を最優先にする。上の表の上のほう(業種別規模・労働生産性・雇用、債権総論、費用関数、インターネットサービス・クラウド、生産計画・在庫管理など)が該当します。よく出るのに取れていない=伸びしろと配点期待値の両方が大きい場所です。
- 3「捨てる」判断はしない。8年で1〜2回の分野でも翌年6割近く出ています。捨てるのではなく「後回し」にとどめ、時間が余ったら薄く1周してください。
- 4確率の数字で一喜一憂しない。94.4%は実測88.1%でした。「高確率だから完璧に」「低確率だから無視」ではなく、順番を決める材料としてだけ使うのが、このデータの正しい使い方だと考えています。
- 5新しい教材に手を広げない。この分析が示しているのは「どの分野が出やすいか」であって、「新しい情報を仕入れるべきか」ではありません。直前5日は、すでに解いた問題の取りこぼしを潰すほうが期待値が高いはずです。
この予測が外れるとしたら/試験後に答え合わせをします
この記事は予測です。外れます。どのくらい外れたかまで含めて、本試験後に答え合わせの続編を出します。
正直に、外れうる理由を並べます。
- 分野の切り方が後知恵です。分野タグは19年分すべてを見たうえで設計されています。たとえば「DX・AI・先端IT」という分野は2010年時点では存在しえない区分です。過去にさかのぼった検証も、その年には作れなかった分類で採点していることになります。88.1%という的中率も、「毎年出る」分野が古い窓の20台前半から直近の30台へと増えてきたことも、この後知恵のぶんだけ上振れしている可能性があります。
- 予測しているのは「その分野から出題されるか」であって、「何が問われるか」ではありません。同じ分野でも問われる論点は毎年変わります。
- 制度や出題方針の変更は織り込めていません。とくに中小企業経営・政策は毎年の白書改訂で中身が入れ替わるため、過去の分布がそのまま来年に当てはまるという前提が弱くなります。
- どの8年を見るかで、帯は大きく動きます。直近8年ではなく19年全体で数え直すと、172分野中92分野で帯が変わりました(順位相関 Spearman ρ=0.833)。たとえば「CPU・処理速度・OS」は19年では9/19年で出題(47.5%)ですが、直近8年では0/8です。古い年度を混ぜるか混ぜないかで結論が変わる、という不安定さがあります。
- そもそも確率の水準が当てにならないことは、「順番は当てになるが、確率の数字は当てにならない」で見たとおりです。
そのうえで、どのくらい外れるかまで含めて公開する意味があると考えているので、175分野ぶんの予測(出題確率・期待出題数・引き戻し版の確率)は、記事公開の時点で確定保存してあります。本試験(8月1日・2日)の出題が確定したら、以下を答え合わせして続編を出す予定です。
- 「毎年出る」36分野のうち、実際に何分野から出題されたか(予測は89.2〜94.4%=32〜34分野)
- 帯ごとのカバー率が、予測(32.3% / 55.0% / 88.2%)に対してどうだったか
- 単純なベイズ推定と、全体へ引き戻した版のどちらが当たったか(Brierスコアで比較)
- 「窓内0年」の3分野(商業の動向・流通構造/補助金・助成・事業支援施策/CPU・処理速度・OS)から出題があったか。5.6%という予測が低すぎたかどうかの決着がつきます
当たったところだけを後から強調するのは、データを扱う姿勢として不誠実だと考えています。外れた場合はその原因ごと書きます。
統計手法まとめ(読み飛ばして構いません)
- 対象:当サイト収録の本試験2007〜2025年度・全4,296問。2023年度再試験と当サイトの予想問題は全工程から除外。分野は175(「その他」受け皿は分析対象外)。分野タグの付与率100%(科目×年度133セルで不一致0)。
- 出題確率:ベータ二項。Jeffreys事前 Beta(0.5, 0.5)、点推定は事後平均、区間は95%信用区間(等裾)。ベイズの信用区間と、実測比率に付けたWilson信頼区間は別物として表記を分けています。
- 期待出題数:ハードルモデル E[X] = 出題確率 × 出題年の平均問題数。区間はモンテカルロ2万回(乱数シード固定・再実行しても同じ数字になります)。
- バックテスト:2015〜2025年度を1年ずつ伏せ、直前8年だけで帯を決めて検証。評価点1,915件(直前8年で1回以上出題があった分野に限定。窓内0年の10件を含めると1,925件・全体71.7%)。
- 不確実性:同じ分野が11年ぶん繰り返し評価に入るため各件は独立ではありません。主要な数字には分野単位のクラスタブートストラップ(2000反復・シード固定)で区間を付け直しています(毎年出る帯 83.7〜91.5% / AUC 0.609〜0.677 / 改善率 −3.1〜+5.3%)。
- 多重比較:175分野の同時検定はBenjamini-Hochberg法(FDR q=0.05)で制御し、Bonferroni基準も併記。補正前のp値だけで「増えている」とは述べていません。過分散はPearson χ²/dfによるφ補正で扱い、φ<1の101分野は1に丸めています(保守側)。φ補正を外すと5/175がq<0.05になる点は本文に明記しました。
- 表示基準:実測正答率は解答数100件以上のみ本文掲載(30〜99件は掲載せず、30件未満は非表示)。比率にはすべてWilson 95%信頼区間を併記し、正規近似は使っていません。
- 再現性:集計は当サイトのデータベースに接続せず、抽出済みの素データJSONのみを入力とする読み取り専用の計算です。同じ入力なら何度実行しても同じ数字になります。
この記事の数字は、当サイトが収録する過去問データと、当サイト利用者の匿名の解答記録にもとづく実測です。分野の区切り方も出題確率の作り方も当サイト独自のもので、協会が公表する公式の見解ではありません。予測はあくまで学習の順番を決める材料としてお使いください。
