経済学・経済政策を19年分の出題データで分析:計算ではなく「図を読む」科目
経済学・経済政策は「計算が重い科目」と思われがちですが、データを見ると違う姿が出てきます。19年分・475設問のうち60.8%に図表が付いている一方、数値を計算させる問題は2.3%しかありません。この科目の本体は計算ではなく、グラフを読むことです。この記事では、その依存度がどれだけ強いか、そして図表つきの問題が本当に取りにくいのかを実測で確かめます。
図表への依存が7科目で突出している
475設問のうち289問(60.8%)に図表があります。2位の財務・会計(40.0%)を20ポイント以上引き離しています。
同時に見ておきたいのが計算問題の比率です。経済学の計算問題は2.3%しかありません。財務・会計の32.5%とは対照的です。つまりこの科目は、電卓を叩く科目ではなく、需要曲線・IS-LM・無差別曲線といった図を正しく読み、線がどちらへ動くかを判断させる科目だということになります。
| 科目 | 図表つき | 計算問題 |
|---|---|---|
| 経済学・経済政策 | 60.8% | 2.3% |
| 財務・会計 | 40.0% | 32.5% |
| 運営管理 | 15.7% | 12.7% |
| 企業経営理論 | 3.4% | 0.5% |
しかも図表つきの問題は増えている
前半9年の53.3%から、後半9年は67.6%へ。2018年度は25問中22問(88.0%)が図表つきでした。
2011年度の32.0%が最低で、2018年度の88.0%が最高です。年による幅はありますが、2014年度以降は6割を下回った年がありません。図を読む練習を後回しにすると、その年の出題の3分の2に手が届かないことになります。
「図があるから難しい」は成り立たなかった
図表つきと図表なしで、正答率はほぼ同じでした。図の有無は難易度を上げていません。
| 種別 | 実測正答率 | 95%信頼区間 | 解答数 |
|---|---|---|---|
| 図表つき | 53.5% | 50.1〜57.0% | 803 |
| 図表なし | 54.4% | 49.7〜59.1% | 428 |
差は0.9ポイントで、しかも図表つきのほうがわずかに低いだけです。もっとも楽観的な仮定でもp値は0.77で、統計的な差とは言えません。図が付いていること自体は、問題を難しくしていないということになります。
この結果は、対策の方向を示しています。図表問題を「重いから後回し」にする理由はありません。むしろ、図の読み方さえ身につけてしまえば、出題の6割を占める領域を通常どおりの正答率で取れるということです。逆に図を避けると、避けた分だけそのまま失点になります。
この比較は当サイト利用者の解答データによるもので、本試験の受験者全体を表すものではありません。また「図表つき」は問題に画像が登録されているかどうかで判定しています。
出題構成:ミクロとマクロはほぼ半々
マクロ52.0%、ミクロ48.0%。どちらかを捨てるという戦い方ができない構成です。
| 分野 | 群 | 19年計 | 年あたり |
|---|---|---|---|
| 45度線分析・乗数理論 | マクロ | 39 | 2.1 |
| 労働市場 | マクロ | 36 | 1.9 |
| 均衡GDP・物価変動 | マクロ | 36 | 1.9 |
| 費用関数・費用曲線 | ミクロ | 32 | 1.7 |
| GDP概念・計測・統計 | マクロ | 30 | 1.6 |
| マンデル・フレミングモデル・国際経済 | マクロ | 28 | 1.5 |
| 需要・供給曲線の基礎と均衡分析 | ミクロ | 27 | 1.4 |
| 市場の失敗 | ミクロ | 26 | 1.4 |
| ゲーム理論・比較優位 | ミクロ | 25 | 1.3 |
科目全体の実測正答率は53.9%(95%信頼区間 51.1〜56.6%)で、7科目のなかでは低いほうです。公式の科目合格率は18年平均19.2%で、2.1%(2013年度)から38.9%(2009年度)まで振れます。振れ幅36.8ポイントは経営情報システムに次いで2番目の大きさです。
この記事では分野別の正答率を出していません。22分野のうち解答数100以上を満たしたのは3分野だけで、上位数分野だけを載せると偏った結論になるためです。
ここから導ける学習の順序
図の読み方を先に固める。計算に時間をかけるより、線がどちらへ動くかを即答できる状態を作るほうが効きます。
- 1頻出の図(需要・供給曲線、45度線、IS-LM、AD-AS、費用曲線、無差別曲線)は、白紙に描けるところまで持っていく。出題の6割がこの領域です。
- 2図の問題は「何かが起きたとき、どの線がどちらへ動くか」を問う形が中心です。動く向きを言葉で説明できるかを確認しながら解きます。
- 3計算問題は2.3%しかありません。計算練習に時間をかけるより、図の読み取りに時間を配分するほうが費用対効果が高くなります。
- 4ミクロとマクロはほぼ半々なので、どちらかを捨てる作戦は取れません。両方を一巡させることを優先します。
当サイトには、これらの図をその場で動かせる図解集があります。線を動かして均衡点がどう移るかを確かめられるので、白紙に描く練習の前段として使えます。
